Dr.STONE ペルセウス号の造船法

Dr.STONE の今週号のアニメで登場したペルセウス号の作り方

木造船を作る場合、曲線を作るために木を煮沸して煮る作業が存在する。

スチーム(蒸気)を使って、蒸しながら曲げる加工が必要になる。

予め曲がる角度を板厚の中心から割り出して、反る角度を算出し、一枚板の曲げを蒸気を使いながら型に当てて曲げて行く。

金属のようにプレス機で簡単に曲がらないので、木造船の方が木の加工が難しい。

また、隙間などを麻紐などで埋めて行き、水の進入を防ぐ加工も必要になる。

それでもビルジ(船底に溜まる不要水)が溜まるので、ビルジポンプで水を汲みだす必要性がある。

これは、大型船でも小型船でも同じで、現代の船でも当たり前に行う作業工程の一つです。

要は、スクリューがあればシャフト部分の冷却にもビルジとして海水がシャフト部分の冷却を行なうので、必然的にビルジは溜まる。

水が溜まれば、汲み上げて排出する作業が必要になる。

こうした現実的な部分は、全て省かれているのが漫画の世界。

自衛隊などの掃海艇などでは、木船の板を交互に縦横で複数の板を貼って、合板の処理と同じように、交互に木筋がたがう形で強度を確保する。

大昔の機関車じゃないけど、蒸気機関を重油で動かすのであれば、C重油でも船舶を動かすのに問題はないが、スラッジの元となる不純物も多く含まれる。

軽油50~60%前後のB重油に近いものなら、エマルジョン燃料として、界面活性剤を使って水と攪拌すれば、蒸気機関用の燃料としては熱量も高く機関の出力も大きい。

空気を膨張させるだけのスターリング・エンジンでは、発電程度の力は得られても、船を動かすだけの出力は得られない。

ちなみに、ガソリンを長期間燃料タンク内に入れておくと、ガソリンは飴状に固まる。

長期間ガソリンを燃料タンクに入れたまま車を放置すると、キャブレター内や燃料タンク内にドロドロにゼリー(飴状)化した燃料を溶かすのに、灯油や軽油などに付けて溶かす必要がある。

石油もあるので、少量のアセトンを抽出できれば、洗浄剤として利用できる。
※ アセトンは一般的に、ブドウ糖にバクテリアを使って培養する。


ペルセウス号のエンジンの話が殆んどない

通常なら、畑仕事や道路を作る際に、この手のエンジンを開発して、ポンプを汲み上げる動力として活用する。

最も重要な食料生産を機械化していない。

船舶は水を海水から得られるので、蒸気機関の船を作るのが理想。

タービンであれば、テスラタービンに似た特徴の過流タービンを作れば、構造的にも簡単であり、かつ高出力を得るので、ポンプを動力とする場合は、水のジェット推進が可能になる。

外燃式の回転運動であれば、タービンの方が圧倒的に効率良く発電ができる。

ツインフロー(ツインスクロール)型のタービンのように、近年になり急速にタービンの高効率化が目覚ましい。

加熱水蒸気で動くタービンであっても、構造上のタービンブレードを加工する技術が乏しい場合でも、一定の回転数で回転する階層式ブレードを使用するテスラタービンのような過流タービンは、板の層による空気の階層を利用して次のタービンブレードを回転させる。

これまではディスクが割れるという現象がネックとなっていたが、ブレードの先端に溝を切る事で階層ごとの圧を逃がしてブレードディスクの割れを解消する仕組みが考えらえている。

小型のタービンとしては、高効率のエネルギーを得られる。


ペルセウス号の船体の作りも、全く造船知識のない素人が船を作ってる事が理解できるので、実際のペルセウス号が動くようになるのは、3~5年は造船する時間が必要になると思われる。

ドックの作りも、本来のドックであれば、100トンを超えるような船は、溝を掘って造船する領域を作り、完成後に川のように水に浸して船を浮かばせる手法を取る。

ダムのように川の水を引いて、川をせき止めて川に船を戻すという迂回路を作る形で船を海に送る。

色々な意味で、造船の手法が異なる。

実際にドクター・ストーンのペルセウス号は、700トンを超える船の大きさであり、おおよそ1000トン近い排水量を持っている。

木造船では、かなりの熟練した船舶技師でも、専門の知識が必要な分類の船になる。

その辺はマンガなので、一切、考慮されていない。

蒸気機関で船の主機や補機を回して発電するのであれば、主機が稼働中は、主機の排気熱で補機を稼働する事ができる。

スターリングエンジンなどの特徴も一切が省かれているのは、矛盾が丸分かりになるからだろう。

その辺は漫画なので、突っ込まない事にしよう。

ペルセウス号が、もし実際に動くとしたら、あの内容では海に浮く事もないと思った方が間違いない。

どうせ造船の方法まで砂浜に穴を掘ったのなら、海の水をドックに引き込んで浮かぶという、江戸時代の大型船作りの手法を取り入れて欲しかった。


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