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「電通が得意とする気運醸成型イベント」に思う「言い逃れの温床」

以下、リンクしたニュースを見て、考えていることを少々。

コメント欄では、「電通をぶっつぶせ」的な反応が多く、ハラハラしながらも一読の価値あり。
一方私は、この記事の最後のところの「電通が得意とする気運醸成型イベント」という表現に苦い記憶が蘇りました。

まざまざと思い出すのは、私も審査員に呼ばれた他部署の事業のプロポーザルの結果、某社に発注したある巨大プロジェクトの「気運醸成」のための屋外イベントの光景です。
 その日は雨の中、某所に訪問したのですが、途中雨もあがったので寄り道して見にいきました。そしたら、観客席は無人で担当の広告代理店の青年が一人ぽつねんとうたたね。近寄って見たら客席の折り畳み椅子はどれもびしょびしょに濡れていて座れなかったことです。

私は、気運醸成型イベントという概念そのものが、終わった後に「一定の効果はあったんじゃない、うんうん」とか、「これは実際の集客人数は関係ありません、気運が醸成されればいい事業ですから」と発注者の質問をかわし、先手を打った言い逃れの温床になる傾向があると、複数の行政内部に約10年いて観光振興を続けていて何度か感じました。

「地域ブランド力を高める」とか「シビックプライドを高める」といった極めてまともな事業の方向性も、いざ具体論に落とすと陳腐、矮小、または目新しいカタカナワードメソッドで煙にまかれ、そして「ふわっと」してしまうケースが多いように思っています。ここをしっかりやりきるための「知恵」と「根気」こそが必要なのかと。そして、なんでそう「ふわっと」してしまう傾向があるのかと漠然と感じていて段々気づいてきたこと。それは、「知恵」を使ってアイディアを実現し、「根気よく」やり続けることはひとつの「能力」だったという事実です。つまり、「しない」のではなく「できない」のだと。そして「できない」から「したくない」艇をなしているのだと。それが怠慢を許し現場を弛緩させる最強ワード「気運醸成型」だったのかと、ニュースを知り、いまさらながらぼんやりと。
知恵を絞って根気よく。成果が出るまで誠実に取り組む、そういう当り前のことを当たり前にしっかりやって行く、効果が出るように工夫する姿勢と、そのために勉強する姿勢こそが大切であることあらためて感じます。

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