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地域資源→観光資源化に役立つ能力その3「掘り下げる」

地域の観光振興を進めるにあたり、最も基本的なこと、それは、ひとつひとつの地域資源をちゃんと見つめて、その良さを感じたら、ある工夫をして、魅力的な観光資源に昇華させることです。
この工夫の仕方で、基本的な考え方は大きくわけて4つあります。
順を追って並べると「掘り下げる」「わける」「つなぐ」「伝える」です。
今回はその最初の作業「掘り下げる」をひもときます。

自分のセンスを知って活かして観光振興に取り組みましょう


地域資源を観光資源に昇華させるやり方は沢山あります。しかしその多くの場合がそれぞれの担当者のセンスによるところが大きいので、「これがいい」と言うのは難しいのです。しかし、今回の私のこの記述シリーズの主旨は「個人のセンスのよりどころとなるポイントを研究することで、いかにみなさん一人一人がご自分のセンスを観光振興面で発揮していただけるか」でもありますので、以下はみなさんひとりひとりへの問いかけとも言えます。
以下、「掘り下げる」上で最も基本的でかつ簡単で、汎用性のあるノウハウをお伝えします。

■大切なことは、自分がそれを「好き」か「嫌い」かを感じること

ある地域資源と出会った時、まずやってみることは、それが、自分にとって「好き」か「嫌い」かを判断しちゃうことです。
好きな場合・・・・次の段階(本文①へ)
嫌いな場合・・・・自分の嗜好を脇においといて、これを「好きになる人」を具体的にイメージする(この続きは今回はふれません。別の時に)

本文①
次に「好き」の理由を以下の3つの中から選びます。
これらは観光振興面で重視したい人をアクションに誘導しやすい3つの軸です。()内はその軸を代表する主な魅力ワードです。
1) 驚く (未知、刺激、新しい、興味をそそる)※知的範疇
2) 笑う(面白い、愉快、楽しい、気持ちいい)※快感範疇
3) 味わう (やる、美味しい、学ぶ、堪能)※嗜好範疇

次に上記1-3のどれを選んだか、その理由を文字にして書いてみる。
これが重要です。
「なぜ自分は驚いたのか?」
「なぜ自分は面白いと思ったのか?」
「なぜ自分はそれを味わいたいのか?」
文章にすることで、その理由を掘り下げていきます。
その理由こそが、あなたはそれを感受できる「センス」があるということなのです。
ですから、そのセンスにのっとって、あなたが感じた「価値」を増幅していくようにその地域資源を扱うことこそが、あなた自身が自分のセンスを資本として、地域資源を観光資源に昇華させるということに他なりません。

以上。
順番にまとめますね。
① その地域資源が好きか、嫌いか、考える


②好きの場合は、なぜ好きなのかを考える。その際に、観光振興特有のアクション軸として「驚く」「笑う」「味わう」があるので、そのどれに分類できるか、選ぶ

嫌いの場合は、ターゲットを考える(またいつか記します。今回は触れません)


③ それを文章にしてみて確かめる


④ 選んだアクション軸を大切にし、③で確かめた内容も参考にしながらその方向で深く詳しく掘り下げる

例をひとつ述べます

たとえば 
ある神社の狛犬を例にしてみましょう。

① への回答
嫌い→では、誰が好きになってくれそうか考える
ここで話は終了してしまいます。
では、「自分を好きにさせるために」こうしたら?
(狛犬)

(その狛犬がもつ不思議な伝説)

①への回答が、「嫌い」から「好き」に変わります。

好き→どんな伝説か聞いてみたい
「狛犬」は特に興味ありません(嫌い)が、「狛犬が宿す不思議な伝説」には興味がそそられる、という状態です。

②への回答
自分の興味にしっくりくるのは「驚き」
③への回答 
なぜなら、ありふれた伝説ではきっとないからで、「伝説」という性質上、オリジナルなコンテンツである可能性がたかく、それを私は知らなかったので、聞いた瞬間に必ず程度の差こそあれ「驚き」が生じると思うから。

上記をもとに掘り下げるにあたり、新たに出てきているキーワードが、「オリジナル」であるということ。さらに「知らなかった」こと。

以上です。ですから、「狛犬」はきらいかもしれないけど、「狛犬の伝説」は聞いてみたい、となります。そして、そこには「驚き」の要素があるので、その「驚き」の中でも、「オリジナリティ」「知らなかった」からこその価値をさらに強調するように演出すればいいのです。
これがあなたの「センス」を活かした、魅力発掘プロデュース上の「掘り下げる」方法となります。たとえば、
「今はじめて明かされるこの地方にだけ伝わる狛犬の不思議な〇〇〇」という風に演出していくのです。そして、観光資源として提供するには、「オリジナリティ」「知られていない」という価値軸がさらに強まるように、文献等を調べたりしてもっととんがらせるように動いてみてください。
この具体的な手法としては「わける」「つなぐ」を活用するとスムーズです。
ぜひ、トライしてみてくださいね。

2021年6月出版した『まちの魅力を引き出す編集力』(㈱同友館 270ページ 1760円)では、これらを駆使して私自身が地域に入り込んで実践してきた観光振興の数々とそこから得られた実践術を満載にしました。ぜひご覧くださいね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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