黒板掃除とアイデンティティ

人生で初めて読んだエッセイ本を再読しながら、自分もエッセイとか書いてみたいな~と思い、とりあえずパソコンをカタカタ言わせてみる。

その本を読みながら、ふと自分が初めて書いたエッセイのことを思い出した。小学校6年生の国語の授業で、「随筆」を書く授業があったのだ。今でも内容を結構ハッキリ覚えている。

 どんなシチュエーションかは忘れたが、クラス全員で教室を掃除していた。私は重たい机を運ぶのも汚い雑巾を触るのもイヤだったし、見た感じどの担当も人手は足りているように見えたので、誰もやっていなさそうな仕事を探すことにした。

 目に入ったのが黒板だった。黒板掃除は好きだ。どんなに汚れても、その汚れの元がチョークであることが明白なので、汚ッ!とならないところが好きだ。黒板消しをきれいにするのは、煙いし機械がうるさいから例外だ。

 私は黒板の乾拭きだか溝のチョークの粉の始末だかをしてた。体力を使わんわりにビフォーアフターが目に見える、良い仕事を見つけたと上機嫌だった。

 これを随筆にするほど私をモヤッとさせる出来事にしたのは、そんな私を見た先生の一言だった。彼女は私に「さすが!気ィ効くな!」と言った。褒められた。

 確かに、私がやらんかったら放ったらかしになってたかもしれない箇所だったし、それを最初に見つけた私はちょっと偉いかもしれない。でも、私からしたら机を運んでる人や、汚い雑巾を触ってる人たちよりよっぽど楽に仕事をしている。それなのに私だけが褒められたことに居心地を悪く感じた。

 なんかイソップ物語とかでこういうウサギだかキツネおらんかったっけ。いっちゃん楽して手柄だけ持って行くやつ。私、今それじゃない?

 ここまで卑下してなかっただろうが、私はそのモヤモヤを文章にし、褒めてくれた先生に提出したのだ。今思うとそれはそれで気まずい。

 先生に見せに行く順番待ちをしている間、後ろに並んでいた友人が「見せて~」と言ってきた。一通り読んだ彼女は「あんたらしいな」と笑った。小6にしては大人びた感性だったと思うし、自覚もあった。だからその友人にも見せた。そういうところまで私はキツネだった。

チームで何かするとき、私は結構0か100かだ。しいたけ占いなんかも、よく「おひつじ座はオンオフが激しい」と言っている。リーダーのポジションも嫌いじゃないので、スイッチが入っているときはずんずん引っ張っていく。しかし、0のときは結構怠惰だ。というよりも、どう足掻いてもその日は気が利くポイントが貯まらないことを知っている。なぜなら0のときは、大抵周りの人が気が効くことが原因だからだ。周りの気が利くシュートがすごすぎて、自分のシュートの後付け感がイヤでしょうがない。だからその日はシュートを諦め、末っ子キャラを演じることに徹する。何もやらないなりにそこにもアイデンティティを生み出すあたりが、ここでもちゃんとキツネだ。おひつじ座やけど。動物多いね。

人と違うところが気になっていることが多いので、みんなが気がつくことはスルーしているものの、誰も気付かないことに気付いてるところだけが目立つので、「結構気が利くポジション」を手に入れやすい体質だと思う。B型の性である。人間を4種類に分類できるかぁ!だとか、血液型の話するのは日本人だけや、とか、血液型で括られるのを嫌う人も多いが、私はB型の自分が大好きだ。10年くらい前に流行った血液型の本にも、B型は自分大好きと書いてあった。血液型の話になると一番イキイキしだすのはB型だし、B型は自分がいかに変で自己中かの自慢と、それに対する周りのB型からの「分かるわ~」だけで居酒屋3軒まわれる。

話の脱線ついでに、私のアイデンティティの関わりたくないランキング絶対に上位な感じを伝えておきたい。

・B型(自己中)

・一人っ子(自己中)

・大阪人(自己中)

・4月生まれ(気強い)

 この4つから成り立ってる典型みたいな性格だと自分では思っているし、これらのアイデンティティを惜しげなく公開できるプロフィール帳には、小学生の頃お世話になった。自分が将来なにかの拍子にWikipediaに載ることがあったら、この4つは絶対に外してほしくないと思っている。しかし、冷静に考えて、こんな面倒くさい私と仲良くしてくれてる友人達は本当に尊敬するし、年々感謝の度合いが増していく。私の初めての随筆を「あんたらしいな」と言った彼女は私のことをよく分かっている。彼女とは今連絡を取っていないが、元気にしているだろうか。B型と大阪人というところが共通している女性が書いた、人生初めてのエッセイ本を薦めたら、きっと「あんたらしいな」と言ってくれるに違いない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?