猫の家出
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この子はchero(チェロ)
野良猫だった。
いつものように
遊びにきていた。
ふと思いドアを開け
「一緒に住まない?」
と誘った。
彼はすーっと入って来た。
それから3年間暮らした
ある日家人がドアを
締め忘れた。
彼は当然の様に
外へ出て行った。
一日たちその夜
彼は帰ってきて
ドアの前に座っていた。
家人の友人が彼の
愛らしい姿に
驚嘆の声をあげた。
彼は驚き、逃げた
それきり…
彼は帰って来なかった。
泣いた。
彼の温もりを、
毛並みの柔らかを、
その匂いを、
思い出し泣いた。
それから2年。
私はどう諦めようかと
思案した。
そこで一つの物語を
作った。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/17342742/picture_pc_f9dcb7f221c8c61b0e04ab387bf70389.png?width=800)
ある街の片隅の
お家に彼にそっくりな
猫がいる…と言う、
早速訪ねて行った。
そこでは小さな女の子が
彼を抱いて座っていた。
「この子迷い猫なの。
あなたの猫?」
女の子はジーッと
私を見つめた。
その目は悲しみの色
をしていた。
私は言った。
「うちの子じゃないわ。
違う猫…」
女の子の目が喜びで
いっぱいになった。
私はさよならを告げて
その場所を後にした。
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そんな物語を作った。
諦められた。
それからしばらくして
そっくりな猫が保護されたと
保護サークルから
連絡が入った。
彼だった。
猫は2年経つと
記憶がリセット
されると言う。
彼は記憶がなかった。
びくびくしていた。
そして今…
彼の記憶は徐々に
回復し私の元へ
すり寄ってくる。
これは奇跡だと言う。
確かにそうだと思う。
おかえり。
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