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山林の境界と所有形態

今回は、地籍調査の話と、山林の境界管理にスマホアプリ「geographica」が使えないか、試してみました。という話です。

地籍調査とはなにか、ご存知ですか?国土交通省の地籍調査Webサイトによると、「地籍調査とは、主に市町村が主体となって、一筆ごとの土地の所有者、地番、地目を調査し、境界の位置と面積を測量する調査です」とあります。

さて、我が家の山林所有形態にはいくつのパターンがあります。
①土地と立木、両方所有している山林
②土地を所有していて、他の人が植林している山林
③他の人の土地に植林させてもらっている山林
今回調査対象だったのは②のパターンです。

上の時点ですでにややこしいですが、土地を共有していたり、立木を共有していたりとあるので、さらにややこしいことになります。こうした複雑な所有形態が森林の手入れが行き届かない原因だ、と良く言われています。我が家では、なるべく複雑な所有形態のものは整理を進め、ほとんど①のような所有形態にしています。

ちなみに、地籍調査をやってみると自分の土地に人が住んでいた(しかも固定資産税を払い続けていた)とか、土地所有者、立木所有者同士で合意していた境界と地籍調査の結果が全然違っている、とか出てきます。
その場合、植栽当時や所有権を取得した時の記録が必要なのですが、なにせすべてが古く、50年、100年とさかのぼるのが大変です。したがって、現状優先で事を進めることが多いようです。
我が家の場合は比較的記録を残してくれているので良いですが、代替わりした時に相続がうまくいっていないところがあると、後々状況を把握することがとても大変になります。なので、代が変わっても所有山林を維持管理し続けられるようにするために、地籍調査に参加するのは山主としてとても大切なことだと考えています。

地籍調査は、行政から委託された測量会社の方と、山林所有関係者の方とともに行います。
境界を合意し、杭を打っていきます。下の写真の黄色い杭を、一定区間ごとに打っていきます。この杭をもとに後日測量して、正式な杭が打たれます。

熊ノ久保 (64)C

地籍調査の結果は、公図や登記簿として残るのですが、私的にかつ簡易的に利用しにくいです。そこで、今回、僕は試しにスマホアプリ「geographica」を使って歩いたルートを記録し、Google Earthに保存してみることにしました。「geographica」は、オフラインでも利用できますので、電波の届きにくい林内でも十分に活用可能でした。
Google Earthに、「geographica」でとった緯度経度データを表示するとこのようになります。

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これにいくつかのポイントを記録しておきます。写真も併せて保存することができます。

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これに、森林簿を見ながら、境界をプロットしておけば、場所、境界、林内の状況、が大体把握できます。とても便利です。

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こうした情報は山主としてはとても貴重です。場所、境界、林内の状態を記録でき、森林簿と見比べながら収入計画を立てることができます。

もちろん、一番大事なことは、現地に足を運び、関係者と会話し、山の状態を自分で確かめることであることに変わりはありません。しかし、「geographica」のようなツールを使い、境界や山林の状態をオンラインで確認できるデータにしておくことで、離れたところに住んでいても、山林の状態を確認することが可能になってきます。

山主として、所有山林を維持管理し、価値を生めるようにしていけるように新しい技術はどんどん取り入れていこうと思います。


めちゃくちゃマニアックなはなしを読んでいただきありがとうございます。ぼくみたいな小規模山主が考えていることを通して、日本の森林が持つ課題に興味を持ってもらえると嬉しいです。