四大公害病
小学校の時に四大公害病って習いましたよね。水俣病,新潟水俣病,イタイイタイ病,四日市ぜんそくです。これらの被害者が起こした裁判は全て原告の勝訴に終わっています。1970年代前半のことです。
水俣病(みなまたびょう)
四大公害病で最も有名なのではないでしょうか。熊本県水俣市で発生したから水俣病と呼びます。水俣市は偉くて,この記録や説明を詳細にHPに掲載しています。
最初に患者が確認されたのは1956年です。政府が統一見解を示したのは1968年ですから8年もかかっているのですね。見解の内容は
水俣病は、水俣湾産の魚介類を長期かつ大量に摂取したことによっておこった中毒性中枢神経系疾患である。その原因物質は、メチル水銀化合物であり、新日本窒素水俣工場のアセトアルデヒド酢酸設備内で生成されたメチル水銀化合物が工場廃水に含まれて排出され、水俣湾内の魚介類を汚染し、その体内で濃縮されたメチル水銀化合物を保有する魚介類を地域住民が摂食することによって生じたものと認められる。
とのこと。つまり,工場から海に排出された「メチル水銀」という物質を魚介類が摂取して,これを人間が食べたことが原因ということです。メチル水銀は触媒として使用されていたと思います。
水俣病にかかると,手足の感覚がなくなる,フラフラする,見える範囲が狭くなる,目が思うように動かなくなる。音が聞こえにくくなる,などが挙げられます。少し難しい言葉ですが,症状についてもHPに詳細に書かれています。また,閲覧注意ですが写真や動画もたくさん出てきます。大人なら見ておいた方がいいと思います。
臨床的には多様な症候が生じ、主要な症候は、四肢末端の感覚障がい、小脳性運動失調、両側性求心性視野狭窄、中枢性眼球運動障がい、中枢性聴力障がい、中枢性の平衡機能障がい等です。また、母親が妊娠中にメチル水銀の曝露を受けたことにより、脳性小児マヒに似た症状をもって生まれる胎児性の水俣病もあります。
両手両足の先にいく程、触れていることや痛みなどを認識する感覚が弱くなる。
小脳性運動失調歩行は不安定、動揺性で、ふらふらする。
両側性求心性視野狭窄物の見える範囲が狭くなる。
中枢性眼球運動障がい眼球が円滑に動かない。
中枢性聴力障がい耳が聞こえにくい。
中枢性の平衡機能障がい体の平衡が保ちにくくなる。
新潟水俣病
これも新潟県のHPで紹介されています。新潟で起こった水俣病だから新潟水俣病。
新潟水俣病ってどんな病気?
原因ももちろん同じで「メチル水銀」です。有機水銀がダメなように書かれていることも多いのですが,無機水銀も環境中に排出されれば有機水銀に変換されるので,とにかく水銀を環境中に排出してはいけない。
水俣病は移ったり遺伝したりすることはないのですが,治療法がないのです。
イタイイタイ病
イタイイタイ病は富山県・神通川で起こった公害です。これもまた富山県のHPで紹介されています。あまり詳しくはないけど。
患者さんが痛い痛いと言い続けるからこの名前がつきました。原因はカドミウム。これもかなり使用が制限されていますし,ヨーロッパには持ち込めない(輸出品に使用されていてはならない)はず。
四日市ぜんそく
四日市ぜんそくについては「四日市公害と環境未来館」のサイトで紹介されています。
https://www.city.yokkaichi.mie.jp/yokkaichikougai-kankyoumiraikan/pollution_01_10.html
四日市ぜんそくの原因は工場の排気ガスに含まれる硫黄成分(二酸化硫黄,亜硫酸ガスなど)です。これらは自動車排ガスに含まれるSOxとしても有名ですね。燃料に硫黄成分が入っていると,燃やした時に有害な物質が出るのです。現在は燃料に使用するような石油成分からは硫黄が除去されていますし,残っていても自動車に積まれている触媒で毒性の低い物質へと変換されます。
四大公害病を政府が認定したことで,公害健康被害補償制度の制定へと繋がって行きます。
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