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バイオエタノール#2


バイオエタノールについて調べている最近。得意の論文検索に移ろう。

再生可能資源,再生可能エネルギー

石油は大昔の植物が地中で長いことかけて変化した物質だと考えられている。なので石油を掘り起こして,燃やしてしまえばどんどんなくなっていく。これに対して,風力や水力はいくら使っても無くならない。木材も消費の速度をある程度抑えれば無くなることはない(また生えてくる)。このように消費される一方ではなく,再び得ることができるエネルギーを再生可能エネルギーという。木材のように物質の場合は再生可能資源と呼ばれる。バイオエタノールはこの再生可能資源の代表である。

水蒸気改質

世界で最も行われている化学反応は改質反応である。特にメタンの水蒸気改質反応はもっとも重要な化学反応だと思う。メタンを水と反応させて,水素と一酸化炭素を合成する。メタンは天然ガスの主成分なので化石資源ではあるが,石油より長持ちすると予想されている。得られる水素と一酸化炭素は様々な有機合成に使用される「原料」である。さらに近年,水素は次世代燃料として使用されつつある。トヨタ自動車から販売されているMIRAIなんかが有名だね。

Bion らはエタノールとメタンの水蒸気改質にかかるギブスの自由エネルギーを計算した。ギブスエネルギー変化が小さい方が反応が進みやすい。計算結果は,エタノールを使うと47.7 k/Jmol,エタンを使うと107.7 kJ/molだったことから,エタノールの水蒸気改質の方が実用的だと述べている。

バイオエタノールに含まれる不純物の影響

バイオエタノールには,1-プロパノール,2-プロパノール(IPA),プロパナール(プロピルアルデヒド),アセトン,プロピルアミンなどの不純物が含まれていることが多い。この論文では貴金属触媒を用いたバイオエタノールの水蒸気改質反応に対する不純物の影響について調査している。不純物を1 mol%含むバイオエタノールをモデル物質として使い,Rh/Al2O3とPt/Al2O3を触媒として使用している。

簡単に結果をまとめるとRh/Al2O3は不純物への耐性が高いが,Pt/Al2O3は失活が早いということだ。面白いのは,どちらも失活するときにカーボンナノチューブを生成したということ。

じゃあ,エタノールからカーボンナノチューブを作れるね!




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