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スルフィドの酸化ってなんの役に立つの?

Applied Catalysis A: Generalで「sulfone」をキーワードにして検索すると,関連度で一番上に早速ぴったりな論文が出てきた。

でも基質が思ったより複雑だなぁ(小並感)。Introductionはなかなか良い。前回の記事で言及したような,スルフィドからスルホキシドの酸化反応は役に立つけどむずいよ的なやつだね。

ちなみに上からふたつ目に出てきたのがこれ。

こっちの方が基質は扱いやすそうだ。置換基効果についても書かれている。やはりフェニル基が付いている方が反応生は高いようだ。スルホキシドで止めるのが難しそう。それでもこの論文の中で触媒を改良してジフェニルスルフィドでも選択的にジフェニルスルホキシドに変換しているね。

この論文の次に出てきたのはちょっと違った。ポリマー中のS原子の酸素化反応。その次はまた似たようなやつで,ベンゾチオフェンを基質にしている。ベンゾチオフェンを基質にした反応ってよく見るけど,なんでだろう。単純に反応しやすいからどんな触媒でもモデル反応にしやすいのかなぁ。

読んでみた。ベンゾチオフェンはディーゼル燃料に含まれている不純物だそうです。なので脱流(S原子をとること)する必要があるんだね。燃料の中にS原子が入っていると,燃焼させた時にSOxが発生するからね。その方法として酸化的脱硫ってのがるんだけど,この論文では脱硫までいかずにスルホンで止まってるんだよなぁ。ちょっとIntroが変かな。

脱硫する必要がある。一般に酸化的脱硫で行われる。酸化する過程でスルホンができるけど,これって役に立つよ。スルホン作ることにした。って感じ。どっちかにした方がいいと思うけど。ベンゾチオフェンをディーゼルから分離することが容易ならいいと思うな。

他にもいくつかあるけど,酸素分子を使わずに過酸化水素を使っている論文なんかもあるね。酸化剤としてはやっぱ酸素分子が一番いいよね。

読み進めているうちにしたの論文に出会った。

ここでも燃料の中のベンゾチオフェンを処理するために酸化的脱硫をするとintroductionで言及しながらスルホン,スルホキシドで止めている。もしかして,S原子を完全に除去する必要はなくてスルホンかスルホキシドにすればいいのか?

日本語で調べてみると,下のような記事を見つけた。ここでも同様に,脱硫するためにスルホンに変換するとしている。

あぁ,わかった。やっぱこれで脱硫できるわけじゃなくて,軽油中の硫黄分を酸化してスルホンに変換して,分留とか抽出で除去するんだね。ということは油を溶媒にして反応が進行するような触媒じゃないとダメなのか。もしくは気相反応だね。普通は気相反応だろう。

いやぁ。勉強になったなぁ。

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