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バイオエタノール#3

これはバイオエタノールをもっと価値の高い物質へと変換する論文。僕がやろうとしていることに近いね。

現在使用されているバイオエタノールは,ブラジルではサトウキビ,アメリカではトウモロコシから作られている。どちらもエタノール発酵。つまり,通常のお酒作りと同じだね。サトウキビもトウモロコシも食料と競合するので,値段が不安定だったり,新しく畑を増やすにも生態系への影響が大きいという問題がある。これまでにも何回か書いた。

なので最近は「非食糧バイオマス原料」からのバイオエタノール合成が精力的に行われている。例えば,リグノセルロース、ヘミセルロース、セルロースなどを原料にしている。これらは木質系バイオマスと呼ばれて,簡単に言うと木に含まれている成分だ。食べられない。

5年ほど前のデータだけど,使用されているバイオ燃料の90%はエタノールだ。バイオエタノール以外は実用化に成功しているとはいえないんだね。さらに,世界のエタノール生産量は急速に増加している一方で,燃料として使用するためのインフラの整備が追いつかないと予想されている(ほんとかなぁ)。なので近い将来エタノールは供給過多になるので,付加価値の高い化学品の生産のための原料として使用されることが望ましい。

その中でも有望なのが「エタノールの 1,3-ブタジエンへの変換」である。ブタジエンは合成ゴムの原料として有名だけど,他にもいろいろな化学物質の原料として使用されているよ。この論文ではエタノールを様々な化学物質や燃料へ変換する研究を紹介している。例えば,コバルト系触媒を用いたエタノール水蒸気改質プロセスとか,1-ブタノール,アセトアルデヒド,アセトン,酢酸などへの変換反応についても書かれている。

読み応えあるわぁ。


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