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タイプ論における感覚(S)と直観(N)の違いについて語る

ユングのタイプ論に関する記事を見ているとS型とN型の違いに関する記述がどうも曖昧でつかみにくいと思ったことはありませんか?そんな私のような言葉を素直に飲み込めない捻くれ者たちのためにS型とN型の違いに関する私見をこの記事で整理することにします。

Sは「具体」Nは「抽象」という誤謬

ネットの記事にはS型は具体的なものを好むN型は抽象的な物を好むとあります。しかし、これは傾向としては正しくても表現としては適切でないように思います。なぜならN型の人だって物事を深くまで理解するために具体的な物事に取り組むことが少なくないですし、S型の人が芸術や数学、物理学といった抽象的で難解な学問に惹かれることも現代では全く珍しくないからです。

ここで、私はSは「形式」Nは「性質」を志向すると解釈いたしました、次節にて、そのことについて説明します。

形式重視のS型、性質重視のN型

ここで、形式とは、モノの物理的な形や聞こえてくる音など五感で感知できるありのままの情報であり、性質とは情報から抽出可能な法則性や関係性をあらわすものと定義することにします。

形式の具体例としまして、結晶の形、資料やウェブページのデザイン、人の容姿、物事の手順などがあります。式変形や計算や文法的な正しさも形式の一種に含まれます。

性質というのは、ざっくり表現致しますと物事の意味そのものです。物理学の現象をイメージを以って理解する、数学を概念を含めて理解する、文脈や単語から読み取れる文章全体の意味合いなどが性質に相当します。

世の中は基本的に形式が求められます、物理的にきれいなもの、文法的に整った文法、出題に対して手順に則って正確に処理していく、これらすべてが形式に相当するからです。

一方で性質そのものが求められることは稀です、性質は本質的なものではあるものの、五感で感じ取ることは難しいですし、表現し難いですし、それに性質そのものが直接役に立つ場面は限られるからです。

しかし、性質が個人に備わっていれば、ありとあらゆる物事に対して応用が効きます。物事の共通点を見抜くことで、新たな分野の知識であっても瞬時に理解できますし、問題を解く際にも性質を理解していれば小手先のテクニックに頼る必要がなくなるからです。

秀才とギフテッドの分岐点

秀才は形式を素早く的確に処理することを得意とします。上記で述べました様に世の中は形式が求められることがほとんどだからです。コンサルでプレゼンテーション能力が求められるのも面接で表現力が求められるのも形式を重視しているからなのでしょう。したがって秀才は基本的に社会的合力が高いわけです。

一方でギフテッドは性質を重視します、形式などこの人達にとっては非本質的なものであり、あまり興味が向くものではないのです(勿論、形式に込められた意味合いに興味を持つことはありますが、意味合いを求めた時点でそれはもはや性質です)。性質を追い求めるギフテッドたちは、形式を重んじることを苦手としているため、社会に適合することを苦手としています。

秀才が天才になれない理由は形式にとらわれてしまう点にあります。物事の意味合いや本質よりも社会的な成功、上下関係、権威、見栄えなど目に見える要素を重視してしまうのです。秀才たちが性質に意識を向けることは稀です、なぜなら性質は直接形として現れるものではないし社会的成功にも結びつきづらいからです。

ギフテッドの中で特に顕著な成果を遺した人たちを世間一般的に天才と表現します。ギフテッドたちは性質を常に意識して物事に取り組みます。ギフテッドたちからしたら、世の中のすべてが観察対象なのです。道を歩けば頭の中の記憶から様々なことを一度に連想することでしょう。ギフテッドたちにとっての関心事は性質です。故に複数の分野間での共通項を探ったり、物事の因果関係を精査したりする傾向にあるわけです。一方で形式に対する興味が薄いため、目の前のありのままの景色が見えてるようで見えてなかったりします。

まとめ

S型は物事の形式を重視し、N型は性質を重視する傾向にある。

いくら抽象的なものに興味を持とうがそれの持つ形式にしか関心が向かないのであればS型である可能性が高いし、具体的なものに興味を持ったとしてもその対象が持つ性質に興味関心が向けばN型である可能性が高い。

既存のS型とN型の解釈は分かりにくいし本質的でないように思える。

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