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FACTFULNESS-人間の本能レベルでの思い込みを乗り越えよう-


みなさんこんにちは。
12月でまた一歩アラサーに近づいてしまったちぇるです。
最近、若いときはいくらでも見ていたかったバラエティ番組が非常におもしろくなく感じてしまい10分以上見ることができません。
よく母が洗濯バサミを身体につけた芸人さんを見て、「くだらん」「どうでもいい」と言っていたのを思い出してへこみます。

さて、2021年最初の書評は「FACTFULNESS - 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しくみる習慣 - 」です。

この本は筆者が世界各国で経験した実体験を基に、FACTFULNESSのために必要な10の要素が記載されています。

FACTは事実、FULNESSは満腹・いっぱいといった意味の単語です。
FACTFULNESSは「事実でいっぱい」=「事実だけを正確に見よ」という意味で、事実に基づいて現状を正しく見ることがいかに難しく、大切であるかを説いた言葉です。
みなさんは、自分は常にFACTFULNESSであると自身をもって断言することができるでしょうか?
実は、何も考えず日常の生活をおくり、与えられる情報を傍受しているだけでは、FACTFULNESSを実践することは不可能であると言えます。

わたし自身もこの本を読み、「事実」という言葉について深く考えさせられました。

事実とは非常に難しい言葉ですよね。

その時々の時代背景や育った環境、もしかしたら持っている財産やお金の有無で同じ事実が人によって解釈の違うものになってしまうのです。

例えば、60年前の第二次世界大戦中の日本。
「アメリカ人は悪魔」「捕虜にされるくらいなら自害したほうがいい」「お国のために死ぬことは名誉」という教え。
これは事実でしょうか?

事実ではありませんね。
現代でははっきりと「違う」といい切れることが当時は事実としてまかり通っていました。
なんという恐怖でしょう。

これはなにも60年前だけの話ではありません。
わたしたち人間は、多くの要因のせいで自らFACTFULNESSを使う力を妨げ、偏ったものの見方をしながらも、それが偏っているという事実にも気づくことができません。

わたしたちは知らないうちに「事実」と「自分が知っていること、わかっていること、思っていること」をイコールに捉えている、もしくは捉えたいという衝動に従っているのではないでしょうか。

事実を正確に捉えることは非常に難しく、いつの時代も人間はあらゆる思い込みで事実を捻じ曲げてしまう生き物なのです。


今回の書評では、FACTFULNESSのための事実を正しく見る習慣を3つ抜粋してご紹介しますが、先んじて事実とはなにかを先にお教えしましょう。

「事実」とはいつだって数字、すなわち「データ」です。

ご紹介する、事実を正しく見る習慣を実践していても事実の判断に迷ったとき、事実がわからなくなったときはこの大前提にかえってぜひ考えていただければと思います。


人間は「分断」したがり


事実を正しく見ることができなくなる原因の1つ目がこの「分断」です。
関西の人、東京の人、東北の人。
長女、末っ子。
男性、女性。
身の回りには様々な分断があります。
そして、わたしたちは自身の知っている知識の中にその人たちを当てはめようと無意識にしてしまう傾向があることをぜひ理解してください。
例えば、特段几帳面だと思っていなかった人でもA型と聞いた途端、その人が几帳面なところを記憶から見つけてきて、「たしかに!」といった言葉を発したことがある人は多いのではないでしょうか。

特徴を正しく理解することが大切ですが、その特徴はデータで示されている=事実であるのでしょうか?
こういった分断には多くの場合、実は分断はなく、重なりあっている場合がほとんどです。
女性でも男性でも愚痴を言うときは言いますし、長女だからしっかりしている人ばかりではありませんよね。

少し考えてみれば当たり前のことですが、この分断本能は境界線をなんとか作ろうとしてしまいます。
「あ、自分いま分断しちゃってるな」という気付きがファーストステップです。意識してみてください。

人間は物事を「ネガティブ」に考えたがり

次のうち、あなたの考えに最も近いものを選んでください。
A.世界はどんどん悪くなっている
B.世界はどんどん良くなっている
C.世界は良くなっても、悪くなってもいない
世界の人口のうち、極度の貧困になる人の割合は過去20年間で約半分になっていて、世界の平均寿命は70歳を超えています。1800年頃には30歳だったことを思うと倍以上好転している数字ですね。

また、核兵器(核弾頭の数)は1986年が64だったのに対して、2017年には15まで減っているし、オゾン層の破壊物質の使用量も1663年に1970千トンが2016年には22千トンにまで減少している。
さらに、女性参政権もいまや194カ国で与えられていますし、世界中の1歳児のうち、何らかの予防接種を受けている子供の割合は1980年の22%から2016年には88%まで上昇しています。

こういったデータの中でも、「世界は悪くなっている」を選ぶ方はいらっしゃるでしょうか。

わたしもこの本を最初に読んだとき、Aを選んでしまいました。
が、これは実をいうと仕方のないことなのです。

わたしたちは、物事のポジティブな面よりもネガティブな面に気付きやすいという本能を持っています。
人間がネガティブ本能を引き起こしてしまう原因は大きく3つの種類があります。

1 あやふやな過去の記憶 -思い出は美化される-
2 偏った報道
3 状況がまだまだ悪いときに、「以前に比べたら良くなっている」と言いづらい空気
わたしたちは思い出を美化したがる生き物であり、良いニュースより悪いニュースの方が報道に取り上げられることが多いため、広まりやすいという特徴があります。
また、「世界中の1歳児のうち、何らかの予防接種を受けている子供の割合は1980年の22%から2016年には88%まで上昇している」といったデータがあったとしても残りの22%は何のワクチンも受けれていない状態なのですから、「66%も良くなっている!すごい!」なんてとてもいいにくいですよね。
良いニュースはニュースになりにくいものです。
「悪い」の裏側には「良くなっている」が両立することを覚えておきましょう。


人間は犯人を捜したがり

なにか悪いことが起きたとき、誰かのせいにするとすっきりする気がしますよね。
単純で明快な理由を見つけたくなるのが犯人捜し本能です。

例えば、お湯だと思って湯船に入ったら水だったなんてときに一瞬、「同居人が水だ」と一言言ってくれれば、なんてことが頭をよぎりませんか?

人は物事がうまくいかないと誰かが自分を貶めようとしている、と考えてしまいがちです。
しかし、「誰かを責めれば問題が解決する」ということは滅多にありません。

この場合、原因はわたしで入る前に、温度を確認すればよかっただけです。誰かがわたしに嫌な思いをさせようとしたわけではありませんよね。

なにか問題や悪いことが起こったときは、なぜそれが起こったのか犯人ではなく、原因を探すようにしましょう。
原因を見つけることは犯人を見つけるよりも遥かに難しいため、人は簡単な犯人捜しを行って考えることをやめてしまうのです。

また、これは物事がうまくいった場合も同じです。
なにか成功したときにうまくいったのは誰か1人だけの力でしょうか?

多くの人が関わりあって成功を生んでいることがほとんでですよね。
誰かが責められているとき、「そうなってしまった原因を探そう」
もし自分が褒められているとき、「わたしだけの功績じゃありません」
と発言できるようになればFACTFULNESSなものの見方ができているはずです。


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