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四日市公害と環境未来館に行ってきました
2か月近く経ってしまいましたが、春休み、三重県四日市市の四日市公害と環境未来館(四日市市立博物館内)に家族で行ってきました。
同志社大学の特殊講義<「負の遺産」と政治>で、2020年度だったか、ここに関する論文を取り上げて発表してもらったことがあるのですが、なかなか行けずにいました。昨年度の同科目の受講生さんが行ってきて報告してくれたのを聞いて、いいかげん行かねば、もう行く!と決意。
車ならそんなに遠くもないので、春休み恒例の中部地方への日帰りドライブ旅行の行先にしました。それだけではさすがにもったいないので、旧東海道の宿場町の雰囲気が残る関宿に寄って観光もしました(こちらにその様子を載せています)。
ホントは先に博物館・未来館→関宿の予定だったのですが、高速の出口を間違えて逆に。博物館と未来館を見終えたら閉館の時間になってしまいました。
博物館は、四日市市のまちの発展を表した実物大模型と、丹羽文雄記念室があって、そちらも面白くて、けっこう時間が経っていきました。
そして、ようやく本命の四日市公害と環境未来館。たいへん工夫が凝らされた、たっぷりの展示です。結論から言って、ここだけでも行く価値がありました。ごくごく一部だけご紹介。
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小さな子どもにもわかるように様々な工夫が凝らされています。コーナーごとに、このような↓平易な文で書かれた、ぺらぺらめくる説明があり、そのコーナーに関するワークシートも設置されています。
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昔は海水浴場があった四日市の海辺ですが、港として整備が進み、工場が誘致され、軍の燃料廠ができていきます。そのため、戦時中には何度も空襲に遭います。
壊滅的な被害が出た四日市港ですが、戦後、再び、工場が建ち始め、工業地帯として発展していきます。
その当時の新聞や広報などから関連記事を抜粋したものを引き出しに格納してあります。思わず開けて見てみたくなりますね。
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四日市ぜんそくの原因となった、コンビナート近くの団地を再現した実物大模型。高度成長期の団地の再現模型は、千葉の国立歴史民俗博物館にもありましたが、ここのは、さらに「実家にあったで、あれ!」的な身近さが。散らかった感じが、またやたらリアル。
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パネルや引き出し式展示のほかに、パソコンでの説明展示も。
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コンビナートの排煙の風下地区の人びとに、ひどいぜんそくの症状が出るようになります。
こちらは気管支の模型。
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今回の見学でもっとも衝撃を受けたのが、小学四年生の女の子が、ぜんそくの発作で亡くなっていたという事実でした。
こちらは、その女の子が使っていた吸入器。
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裁判についての展示のあと、その後の地域や行政、企業の取り組みについての展示があります。
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そして、四日市の現在と未来という最終コーナーでは、広く環境についての展示がありました。
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一階には、被害の大きかった地区の小学校を模した部屋があります。ここでは講演会などの催しができるようになっています。
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うがい場の再現。
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当時の日課表の再現 うがいの時間が設けてあります。
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市の複合施設で、こんな立派なビルです。
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市立博物館と未来館だけで、これだけの資料がありました。ボールペンとマグネットは、未来館でいただきました。
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ミュージアムショップで、資料やはがきなどを購入。ウサギは見たわけではないですが、なんかインパクトがあったので。浮世絵は、この日に行った関宿と四日市のものを。でもお安かったので、もっとたくさん買っても良かったな。
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そして、衝撃を受けた、ぜんそくで亡くなった少女の物語の漫画と、そこから派生した活動等について書かれた本も購入しました。
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四日市公害と環境未来館で購入。館の設立(2015年)経緯についての論文を授業で学生と一緒に読んだことはあったが、ようやく見学。子どもから大人までしっかり学べる工夫された展示だった。かつては海水浴ができた浜が海軍の燃料廠になったこと、四日市は9回も空襲を受けたこと、工場が出来ていくことが当初は歓迎されたことなど歴史的経緯もよくわかった。
展示物には9歳でぜんそくによる心臓まひで亡くなった女の子が使っていた吸入器があり、もっとも衝撃を受け、その少女を取り上げた漫画が掲載されている本書を買い求めた。
本書には、四日市ぜんそくで亡くなった少女とお母さんの漫画、漫画を製作した経緯、少女のお母さんのインタビュー、漫画が生まれるきっかけとなったテレビのドキュメンタリー、漫画を翻訳するプロジェクト、若い世代の公害や環境問題へのコミット、四日市公害がもつ現代的かつ普遍的な意味や警鐘と継承について、何人もの人の文章が掲載されている。
本書を読んだすぐ後に、日本企業がフィリピンなどで進めているレアメタル採掘事業(日本向けに輸出される)に関するドキュメンタリー映像と解説を視聴。鉱山開発のために、先住民の農地が荒らされ、水が汚染され、さまざまな健康被害が出ていることを知る。現地住民を分断するような企業側の対応、反対運動を監視、弾圧するような現地警察、有害物質の測定と測定値の公開の要請に対してうやむやな態度をとる企業。
高度成長期に甚大な被害を生んだ公害の教訓は日本国内ではある程度活かされているかもしれないが、他国(途上国)では活かされていない。
「持続可能な開発」を謳うときには、それが他の負の面をもたらさないか、よそに負担を転嫁していないか、犠牲を強いていないかも見なくては。
夫氏は別の本を生協で取り寄せてくれていました。こちらも読もうと思います。
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