10月のシーズナル|リンゴにバターナッツ、イチジク、秋の食材を揃えました
SHIBUYA CHEESE STANDで月替わりで販売しているシーズナルメニューは、月に2回の試作会を経て試行錯誤をしながら、皆様にお届けをしております。その試作会に潜入し、SHIBUYA CHEESE STANDの店長の佐伯とキッチンのマナ、代表の藤川真至の試食・意見交換を通じて、どのようにメニューを作っていくのか、”おいしさを作る現場”をレポートしていきます。
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ベルガモットとミントが誘う秋の世界
「いちじくとリコッタのタルティーヌ」
いちじくとリコッタのタルティーヌ|1,550円
東京・六本木けやき坂の人気ベーカリー「Bricolage bread&co.」のシグニチャーブレッド「ブリコラージュ・ブレッド」を使ったタルティーヌもシーズナルメニューで提供しています。
断面だけを軽くキャラメリゼして甘さとコクを出しながら食感を残したイチジクと、リコッタ塗った優しい味わいの「ブリコラージュ・ブレッド」を食べていただきたいひと皿です。
おお~、初回の試食会から大きく変えたね。
はい! 前回は、オーブンで焼いたイチジクとモッツァレラにシャキシャキとした食感のベビーリーフというのがメインの組み合わせです。
さらにそこに香り付けとしてのタイム、食感のつなぎ役としてローストしたジャガイモを加えて、さらに生ハム、赤ワインベースでバルサミコ酢を利かせたドレッシングをかけていたので、いうかなり構成要素が多かったと思います。
うまくバランスがとれずにイチジクらしさを消してしまった反省点を活かして、思い切って構成をかえてみました。
(参考:最初の試作)
チーズをモッツァレラからリコッタに変えて、ジャガイモと生ハム、ドレッシングもなくしたわけだね。それと、シャキシャキした食感をベビーリーフではなくてトレビスに変更したのか。
イチジクとリコッタは、もう定番のおいしい組み合わせだったので、モッツァレラと合わせてみようと思っていろいろと試してみたのが前回だったのですが、あまりこだわりすぎず、良い組み合わせをシンプルに考え直してみました。
リコッタは、パンの上に塗るようにして全体のベースとして使っているのと、トレビスは、より食感のよさを出すように千切りにしています。
前回、藤川さんから香りと食感のアクセントとしてナッツのような食材があってもいいという話もあったのですが、千切りにしたトレビスで十分な食感をつくれたので、かわりに香りの組み立てを前回よりも工夫しています。
まず香りのアクセントとして使っていたタイムを清涼感のあるミントに変えました。それにあわせて、複雑な構成だったドレッシングをベルガモットオイルだけに変更して、わかりやすくシンプルな香りで楽しんでもらう仕立てにしました。
最後に、ちょっとした塩味で全体をまとめるイメージで、リコッタサラータ(塩漬けにしたリコッタ)を削りかけています。
うわぁ、すごくおいしい。マナさんが言うように、最初にベルガモットの香りがふわっとして、その後にミントの香りが追いかけてくるような、香りに連続性ができているよね。
確かに、トレビスは千切りにしたことでシャキシャキとした食感がやわらかいイチジクとのコントラストになっているなぁ。トレビスはクセが強くないけどほろ苦さはあるので、イチジクやリコッタを邪魔しないでも存在感がある。
サラータもこれくらいの量でいいですか?
良いと思うよ、しっかり利いていると思います。
前回から大きく構成を変更してあるけど、すごくきれいにまとまっていて、お客様に食べてもらうのが楽しみなメニューになったと思います。
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CHEESE STAND史上最高のリンゴメニュー!
「焼き林檎のブッラータ~林檎のマスタード添え~」
焼き林檎のブッラータ~林檎のマスタード添え~|2,200円
ブッラータのシーズナルメニューのテーマは「フルーツ」です。季節のフルーツとブッラータの組み合わせを月替わりで楽しんでいただいています。
シナモンシュガーをまぶしてキャラメリゼさせた焼きリンゴに、自家製のリンゴのマスタード、最後にセルフィーユを散らしたフルーツブッラータです。リンゴは、青山のファーマーズマーケットでお会いした青森県の佐藤農園さんのリンゴを使わせてもらいます。
盛り付けが大胆でいいね! おいしそう。これが、前回の試食でアイディアが出たモスタルダだね。鮮やかな黄色が新鮮だなぁ。
前回の試食では、焼きリンゴとブッラータというシンプルな構成だったんですが、どうしてもデザート寄りになってしまったのが課題としてありました。
(参考:最初の試作)
そうなんだよね。SHIBUYA CHEESE STANDで出すなら、フルーツのブラッタータはあくまでお食事としてお昼や夜にお客様に召し上がってもらいたいんだよね。
前回のメニューはひと皿として完成していて、すごくおいしかったんだけど、どうしてもデザートに感じてしまったというのが正直なところ。だから、もう少し料理寄りになるようなアイディアがあるといいよねと話していたんだよね。
そこで江六前さん(CHEESE STAND note の編集部員)から、イタリアにあるリンゴのマスタード「モスタルダ」を使ったらどうかと、江六前さんの友人のシェフの関口幸秀さんのレシピを教えてもらったんです。
関口シェフのレシピを参考にしながら、加えるフレンチマスタードと粒マスタードの割合を調整したり、仕上げに自家製のドライシャインマスカットを加えたりして、ブッラータと焼きリンゴに合うようにアレンジしています。
これはおいしい。リンゴのマスタードが、いいね、とてもいい。甘過ぎず、辛すぎず、CHEESE STANDのメニューには今までになかった味の構成だと思うなぁ。シナモンシュガーでキャラメリゼした、ちょっとオリエンタルな風味が、マスタードにすごくあってるよ。
もともと焼きリンゴとブッラータで完成していたものが、料理寄りになってさらに全体を底上げされた感じ。フレンチレストランやビストロの前菜として出てきてもおかしくないひと皿だと思う。
ありがとうございます! モスタルダは、リンゴを砂糖につけて脱水して、出た水を煮詰めて戻してさらに脱水するというのを3日間繰り返すので、手間がかかるものですが、その分すごく個性的な味になるんですよ。
手間をかけたものはやっぱりおいしいよね。良い感じでリンゴのマスタードがはまったね! これまでリンゴとブッラータのメニューは何度もやってきたけど、過去最高の出来栄えだと思います。
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バターナッツのいろいろな味が楽しめる
「たっぷりバターナッツのピッツァ」
たっぷりバターナッツのピッツァ|1,300円
(10月中旬から発売)
グラハム粉(小麦の皮や胚芽を丸ごと製粉した粉)のクリスピーな生地のピッツァです。酸味や香ばしさがチーズとよく合います。季節の食材を使った月替わりのピッツァをお楽しみください。
バターナッツをペーストやロースト、マリネと3種類の加工をした”バターナッツづくし”のモッツァレラのピッツァです。バターナッツは、山梨県の「53FARM」さんのものを使わせてもらっています。
うわぁ~、タイムの良い香りがする! 前回よりもタイムをずいぶん増やしたんじゃない?
はい、だいぶ増やしました! ピッツァを焼く前に振りかけてみたら、焦げずに香りが際立ってきたのと、かえって緑色もきれいにでたんです。タイムの香りで十分かなと思ったので、前回の試食で香りが強すぎたピンクペッパーをなくしています。
1回目の試作の段階からすでにまとまっていた料理だったけど、1つポイントだねと話していたのは、バターナッツの”重さ”でピッツァ1枚を食べきれないのではないかということだったよね。
(参考:最初の試作)
はい。そこで前回は、生地に塗っていたバターナッツのペーストにリコッタを加えていたのをやめて、バターナッツだけにしました。その方が、バターナッツ自体の甘味が出てきたかなと思います。ただ、甘いだけだと食べ飽きてしまうので、前回よりも塩をしっかり利かせています。
その上にモッツァレラとローストしたバターナッツ、たっぷりのタイムを散らして焼き上げています。モッツァレラの量も、ペーストからリコッタをなくした分、前回よりも増やしています。
ピッツァが焼きあがってから、スライスしてヴィネガーのドレッシングでマリネした生のバターナッツをたっぷりトッピングして、レーズンと粉チーズを振りかけてあります。
前回食べたときよりも、生でスライスしたバターナッツの味がしっかり伝わってくるのはどうして?
ひょうたん型をしているバターナッツの下の太い方が上の細い方よりも甘味が強いんです。生でスライスしているのが、この下の甘い部分。ここだけを使っているのが大きいと思います。
へぁ、そうなんだ、知らなかった! レーズンも前回の試食のときに、バターナッツとの相性の良さはわかるんだけど、強すぎるとお菓子のようになってしまうから気を付けてほしいと話したら、今回は小さくカットして散らしあって、バランスもよくなったと思います。
ありがとうございます。もともとバターナッツを思う存分たっぷり味わってもらいたいというのがコンセプトだったので、不要なものは省いて、必要なものは強調してということを繰り返して、だいぶ試行錯誤しましたがなんとか完成できてよかったです。
その試行錯誤の甲斐があって、すごくいいメニューになったと思います。
53FARMさんのバターナッツは10月中頃からになるということなので、それまでは9月のシーズナルメニューだった「栗かぼちゃと舞茸のピッツァ」(1,050円)を継続して販売していく予定なのと、「たっぷりバターナッツのピッツァ」は11月末まで販売を続けようと思っています。
10月から緊急事態宣言も解除される予定で、久しぶりのご来店を楽しみにされているお客様も多いと思います。今回のメニューはどれも良い出来だったので、自信をもってお客様をお迎えしましょう!
はい! おいしい秋の味覚をつかったシーズナルメニューのほか、レギュラーメニューも取り揃えております。皆様のご来店をお待ちしております!
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このようにすべてのシーズナルメニューは、1品1品、どうやったらおいしくお客様に食べてもらえるかを考え、ほぼ1カ月かけて作り上げています。
10月からSHIBUYA CHEESE STANDで発売中です。ぜひご利用くださいませ♪
10月のシーズナルメニュー(価格は税込)
・栗かぼちゃと舞茸のピッツァ(1,050円)※10月中旬まで
New!
・焼き林檎のブッラータ~林檎のマスタード添え~(2,200円)
・いちじくとリコッタのタルティーヌ(1,550円)
ComingSoon!!
・たっぷりバターナッツのピッツァ(1,300円)※10月中旬から
SHIBUYA CHEESE STAND
〒150-0047 東京都渋谷区神山町5-8
東京メトロ「代々木公園駅」2番出口より徒歩6分
JR「渋谷駅」より徒歩10分
営業時間/11:00〜22:30(L.O.22:00)
日曜日のみ11:0〜20:00
※緊急事態宣言発出中の営業時間は、11:00〜20:00
定休日/月曜日・年末年始
(ただし月曜日が祝日の場合翌平日休み)
※営業時間は、新型コロナウイルスの感染状況に応じた都や国の要請によって変更になる場合があります。最新の営業状況は、各SNSでご確認ください。
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文・構成、撮影=江六前一郎
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