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    翠とレモンの交換ノートです。同じテーマや音楽ついて考えたことを書き綴り、考え方や表現の違いを楽しむためのマガジンです。

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私はどう生きるのか

それは突然だった。大切な人を失ってから人は本当に死ぬんだと実感した。もちろん知識として「人は死ぬ存在だ」ということなんて分かっていた。でも、それはいつかの話であって今すぐの話ではないのだと思っていた。 大切な人が亡くなったその日から「今日も地球は周っていてみんな何事もないように過ごしている」という感覚が私をとても苦しめた。大切な人を失って私はこんなに辛いのに、いつもと同じように今日が来ていつもと同じように今日が終わる。あの人が亡くなったのに世界は何一つ変わっていない。ある人

    • lemon no tanka(2024.03.24)

      旅行 待ってるねあなたの愛に胸躍る 旅の目的あなたに会いに 新生活 苦しさの底なし沼でもがくのを やめることさえ苦しいなんで 地元 外に出て眼下に広がる緑世界 絵画の中に飛び込むような 新たに暮らす土地 空飛んで辿り着きたい雲の上 輪っかがくれる私の居場所 若葉 晴れやかな希望を抱き芽を伸ばす 忘れないでね今ある気持ち 風 窓開けて風の流れに身を任せ 我を忘れて目を奪われる 日向 日向道歩くあなたのその陰が なくなる前に気づきたかった 「飛び出した」から始まる

      • 2024年2月に読んだ小説11冊

        今月に読んだ小説を短い感想を添えて記録しておきます。以前感想をnoteに投稿したものに関してはリンクを貼っておきます。 『52ヘルツのクジラたち』/ 町田そのこ 『檸檬』/ 梶井基次郎 何かひとつのきっかけで心が軽くなる経験は私にもある。それがこの人にとっては檸檬だったのだろう。周りから見ればそれだけでと思われるかもしれないけれどそれで私の心を救ってくれるのなら大切にした方がいいのだと思った。 『ぼくはなにいろ』/ 黒田小暑 他の人に対しては千尋のように「相手がどん

        • 『正欲』を読んで

          私はずっと思ってた。私たちの意見が異なるのは同じものを違う角度から見ているだけなんだって。でも人が見ている世界は人それぞれにあって、私が見ている世界を様々な角度から観察するだけでは足りないんじゃないか。 私たちが見ている世界をあらゆる角度から見直すだけじゃなくて私たちが見えていない世界がそもそも存在しているんじゃないか。今見ている世界をあらゆる角度から見ても見えない世界があるのではないか。 社会が病院に通うような人を「異常」とする時にその異常を正常に治すのがよいのか、異常

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          『52ヘルツのクジラたち』を読んで

          今日は町田そのこさんの『52ヘルツのクジラたち』を読んだ。 ずっと読みたいと思っていた本を一気に読んでしまった。苦しかったし吐きそうになったし泣いちゃったけど素晴らしい小説だった。 嫌なことを色々思い出してしまって読んでいる間とても苦しかった。それでも読み進めた。見たくないものを、聞きたくないことを、なかったことにするのは簡単で残酷だから最後までその声を聞こうと思った。 私は心がダメになってしまってから、いや、そのちょっと前からは「誰かと関わると傷ついてしまうから遠ざか

          『52ヘルツのクジラたち』を読んで

          『傲慢と善良』を読んで

          自分のことを善良だと思っていても実はその態度は傲慢だということもあるんじゃないか。 本を読み終わった後に一番にそう感じた。 ・・・ 辻村深月さんの作品をずっと読みたいとは思いつつ、なかなか読めていなかったが、ついに『傲慢と善良』を勢いに任せて購入し、一気に読み進めた。 婚活要素、恋愛要素、ミステリー要素がありながらも私自身の心の奥深くに潜っていく感覚がとても楽しかった。 文字だけ読み進めていくこともできたが、自分の心を鏡に写してどこまで内省できるかという挑戦をし続け

          『傲慢と善良』を読んで

          『むらさきのスカートの女』を読んで

          「むらさきのスカートの女」/ 今村夏子 「むらさきのスカートの女」を読んだ。書店で見かける機会が多くて購入した一冊だった。以前紹介したように小説モードになかなかならなくて積読にしていた本だった。 しかし、ようやく小説読みたいの時期がやってきたので晴れて読み始めることができたのだ。 その淡々とした語り口が私には心地よくて気がついたら最後まで読み終えていた。とても面白かったという感想しか出てこなかったが、なぜかどうしてもまた読みたいという衝動に駆られて読み終わってすぐにまた

          『むらさきのスカートの女』を読んで

          私の積読10選を紹介します

          えなりかんなさんのこの記事を読んでから本が読みたくなった。これを機に今まで積み上げていた「積読」を読んでみよう、振り返ってみようと思ったのでまずは10冊私の積読も紹介します。 1. 「老子」/ 蜂屋邦夫 訳注 道家の思想を学ぼうと思い立って購入した一冊。途中まで読んだところで何だか荘子の思想も学びたいなと思った結果、積読になってしまった。 2. 「荘子全現代語訳」/池田知久 訳 先ほどの本を読んでいる途中で荘子の思想を学ぼうと思い立って購入した一冊。章が細かく分かれて

          私の積読10選を紹介します

          2024年2月

          少し早いけど二月ももう少しで終わり。 一月に比べると調子は安定していたと思う。外に出られる回数はほとんど変わらなかったけど家の中で様々な活動をできたのでとても嬉しかった。 まずは、今年中に書こうと思っていた短編小説と「レモン思想史2024」を書き終えることができた。私は行動力はないので衝動力で進んでいくしかないからこんなことになったのだろうなとは思う。でも今回は良い方に転んだので良しとする。 他にも二月は絵を描き始めた。頭の中にあるイメージを頭の外で再構築するための練習

          雑記

          ・私たちは魚からえら呼吸のやり方を教えてもらっても鳥から空の飛び方を教えてもらってもそれを実践できない。じゃあ私たちは水の中で呼吸したり空を飛んだり出来ないのかと言えばそういうことでもない。酸素ボンベの使い方を学んだり、パラグライダーの乗り方を学べばいい。そして私たちは水の中で呼吸ができなくとも空を飛べなくとも生きていける。 ・集中力を高めるために瞑想を再開したいのだけれど瞑想を続ける集中力がない。 ・人の優しさに触れると私も同じように相手を温かい気持ちに出来るような人に

          愛【短歌集】

          あの人が留学行くと知らせ聞き 喜ぶあなた肩落とす僕 お友達遠く遠くに行っちゃって 手紙で繋ぐあなたとの距離 お便りを待つの苦しく番号を 押しかけ気づくあなたとの時差 無理をして遅寝早起き不健康 それでも埋めるあなたとの時差 電話切り布団の中で思い出す 幸せの音微笑むあなた あなたから帰国の知らせ受け取って 紅葉と共に色づくほっぺ サンタさんあの子いい子にしてるけど 今年は僕がプレゼントする プレゼント嬉しいけれどそれよりも 早く伝えてあなたの気持ち 口下手なあ

          愛【短歌集】

          lemon no tanka (2024.02.19)

          檸檬 酸っぱいと敬遠されて自己否定 私の好きなそのままの君 水 普段なら辿り着かない感情へ 泳いでいける国境超えて 春 出会いより別れの方が多くなり 別れる人もいなくなりそう 桜 散ってゆき人が離れる喜びを もしも私が桜の木なら 朝 一日の始まり終わり逆ならば 私はどんな夢を見るのか 夜 希死念慮あなたの気持ち重すぎる 終電前に今日は帰って こころ 傷ついて破れた心はぎ合わせ バレないために今日もニコニコ 夕焼け 赤い頬照れていないと言うあなた 今日は夕日のせい

          lemon no tanka (2024.02.19)

          雑記

          ・雨の音で目が覚める。洗濯物を取り込まねばとの意識で重たい身体を起こしてベッドから飛び出す。晴れているうちに取り込んでおけばよかった。「雨で洗濯物を取り込む」これだけのことで自己肯定感が下がることなんてあるのだ。取り込んだ途端に雨が止んだ。 ・外から人の声が聞こえる。笑い声が聞こえる。うるさい。うるさい。とてもうるさい。心がダメージを受けていく。 ・理解されないことは恐ろしいのでそれが勘違いだとしても相手の理解の形に合わせて自らを変形させてしまう。その技術だけが段々上手く

          朝ごはんはメロンパン【短編小説】

          あとはそこから身を投げ出すだけでよかった。終わりにするために。でもやめにした。理由は自分でもよく分からない。あえて理由を挙げるとするならば気持ちの変化だろう。こうやって私は終わりにできないまま時間と共にこの先も過ごしていくのだろう。 冷たい風が色鮮やかなドレスを身にまとった木の葉を揺らす。どのくらいの時間が経ったのだろうか。朝からずっとここに座っている。あとは身を投げ出すだけでいいのに。それで終わりにできるのに。 散歩に行こうかと思ったけれど、行くための準備と帰ってきてか

          朝ごはんはメロンパン【短編小説】

          相手との共通認識を見つけるために

          大事にしてくれる人は許してくれるからこそ傷つけてしまう、大事にしてくれない人は許してくれないからこそ相手に合わせてしまう。それが矛盾だって気がつけるのは成長した証なのかもしれない。 ・・・ ヨルシカさんの「風を食む」を聴いていると相手によって心の価値を変動させている私にスポットライトを当ててくれる。 私を大切にしてくれる人は許してくれるからこそ、心の価値を過剰に上げて私の主義主張だけを押し通してしまう時がある。 大切な人との付き合いの中で、私の思い通りにならないことで

          相手との共通認識を見つけるために

          偶然出会えたあなたを運命の人にしたい

          スピッツさんの『運命の人』を聴きながら運命の相手とはどんな人なのだろうかと考えている。 別に恋愛関係でなくてもいい、友達でも家族でもいい、関係性に名前なんてなくてもいいのだが、運命の人がいたらいいなと思う。 その人は運命的に相性が良いとされている相手なのか、それとも私自身が相性を良くしたいと願う相手なのだろうか。 もし仮に「この人が運命で決められた人です」と言って紹介されたとしても私は少し納得できないような気がする。 相性的に良いと言われる人と、相性が良くなりたいと願

          偶然出会えたあなたを運命の人にしたい