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「人は生涯変容し続ける」 自らの豊かさを自覚し 圧倒的なプレーヤーとして変容し続ける 木村 彰宏さん

「人は生涯変容し続ける」という理念を持ち、子どもから大人までを対象に学びの場をつくり続けている、木村 彰宏さんにお話を伺いました。

木村 彰宏(きむら あきひろ)さん プロフィール
出身地:京都府亀岡市
活動地域:全国
現在の職業及び活動:
株式会社LITALICO 人材開発部
一般社団法人こたえのない学校 広報宣伝・ファシリテーター
Teach For Japan 採用・選考担当
島根県津和野町 幼児教育アドバイザー
プロジェクトアドベンチャージャパン 非常勤ファシリテーター
ワークショップ開発/研修開発
キャリア教育/キャリア支援

みんなが自分にとってより良く変容していける場をつくることに「プレーヤー」として関わり活躍すること

記者:まず、今お持ちの夢を教えてください。

木村 彰宏さん(以下、木村 敬称略):子どもから大人まで、みんなが「その人」にとってよりよく変容していける機会を自分の手の届く範囲からつくっていきたいと思っています。学生時代の活動や、社会人になってからの活動を通して、物質的に裕福な人から貧しい人、"学生"と一括りにできない様々なバックグラウンドを持った大学生など、多様な層の方々に出会ってきました。そして、皆さんとお話する中で共通して感じる事は、それぞれが「より良く生きたい」と願っているということです。私が今働いている会社には「会社を通して世界を良くしていきたい」という学生さんが多く面接に来ます。その面接にも、受かる人と落ちる人がいて、落ちる人はともすれば自信を失くしてしまったり、存在を否定されたと思ってしまったりすることがあります。しかし、それはたまたまそのタイミングで組織が求める人物像とマッチしないと判断されたり、たまたま今見ている視野が組織の視野とマッチしなかったりするだけのことだと思うのです。ですから、そのような自信を失くしてしまった人や、存在を否定されたと思ってしまう人の誰もが、自分のタイミングで変わっていけるのだということを、信じられるような場所をこの社会の中に多くつくっていきたいです。

記者:なるほど、しっかりした中心軸をお持ちなのですね。

木村:もちろん元々はなかったのですが、こういうものがあったらもっと良くなるのではないかとか、この仕組みはどうなっているのだろうなど、いろいろなものを追求する中でできてきたと思います。特に、大学生になってから関心の幅が広がりました。幼児教育に関心を持ち始め、次第に貧困などの社会課題にも関心を持つようになり、海外の貧困問題に携わる活動も行いました。その後、日本に帰ってきて東日本大震災を20歳で経験し、今日まで生きてくる中で様々な人と関わり、中心軸ができてきました。

記者:学びの場を大人から子どもまでということですが、様々な機会をつくっていくということに関して、3年後、5年後どんな形で具現化するのかイメージはありますか?

木村:今は、自分が圧倒的なプレーヤーとして貢献したいと思っています。仕組みや組織をつくっていくというよりは、例えば大人や子どもの学び場のファシリテーターとして日本で10本の指にはいることなどをイメージしています。もっと夢を広げて語るのであれば、ファシリテーターや人の変容に関わる方々の育成や、自分が離れても回っていく育成の仕組みをつくっていきたいという思いもあります。ただ今の時点では、プレーヤーとして貢献することを考えています。

記者:同じ土俵の上というのがいいですね。

変容を促すこと

記者: 人の変容に関わるお仕事に関わる中で、どんなことを大切にして取り組まれていますか?

木村:ひとつは、関わる方が今より少しでも自己認知を深められる関わりをすることです。例えば、誰かに相談する時に同質性の高いコミュニティーの中で相談すると新たな気づきは多くはありません。デパートで例えると、同じ階だけで探しものをして、違う階に素敵なおもちゃ売り場があったということに気がつかないといったような。ですから、デパートでいう違う階の人へ相談する機会やフィードバックをもらう機会をつくることで気づけることがあると考えています。時には僕がそんなフィードバックをすることもありますし、相手が内省を深められるような問いを投げる事もあります。そんなフィードバックをしてくれる相手を何人か探してみてというアドバイスを投げることもあります。

記者:今までにない角度からのフィードバックをもらうことが大切ということですね。

木村:そうですね、それを自ら獲得するために、デパートでいう自分がいる階とは違う階の存在に気づけるような、客観的な認知をできることも大切だと考えています。ともすれば人間は、出来ているつもり、見えているつもり、分かっているつもりになってしまいます。デパートの例えでいえば、自分が全ての階を把握して、最上階にいるような気分になってしまいます。そうならない為のバランス感覚のとれた自己認知は、他者や社会との関わりの中で生まれると思います。相談に来る就活生の中に、自己分析をたくさんしたけど自分の事がわからないと言う人がいます。しかし、自己というのは、社会との関わりの中での自分だから、自分ひとりでわかるはずがないと私は思います。ですから、そういうことをわかった上で、多様な他者からの意見をもらいに行く必要があるのです。

記者:社会との関わりの中での自己、確かにそうだと思います。

木村:ただ、全く自分に自信がなかったり、挫折ばかりを繰り返していたりすると、人からフィードバックや評価をもらうことが怖くて、どんどん内にこもってしまいます。そうなる前に、ひとりひとりにとって安心安全な土台があることを前提に、互いに意見し合ったり、フィードバックし合ったりできるような経験を子どもの頃から学校などで積んでほしいと思います。

記者:なるほど。ちなみに、ご自身はどうやって自己認知を高めているのでしょうか?

木村:私の場合は、圧倒的に動く範囲を広げたり、複数のコミュニティを持ったりすることで高めています。いろんなコミュニティを持っている人と話すことで客観的に差異を感じることは、自己認知にも繋がります。これは偶然行き着いた結果で、まだまだみえていない部分もありますが、一旦自分のいる階を受け入れて、その中で最大限できることを考えて、次にどう登っていくかということを考えています。

記者:「人は常に変容し続けられる」という確信を持ったきっかけは、何だったのでしょうか?

木村:学校現場での子ども達との出会いです。変わっていかない子はいないんです。そうであるにも関わらず、その時点の評価に苦しみ傷ついて、変わることを諦めてしまう子もたくさん見てきました。私たちはついついその時点で、その人たちを評価しがちですが、人は変容し続けるんですよ。

両親を尊敬できるようになったこと

記者:今の活動の背景には、何があるのでしょうか?
木村:今考えると、両親がわりと放任主義だったことがあると思います。私は三人兄弟の次男でしたが、小さい時にアトピーだったり、 抜毛症だったりしたことで、心配はされたと思います。抜毛症になりアトピーも酷かった小4の時は毎日死にたかったです(笑)。しかし、これからどうしていくなどの進路は、わりと自由に自分で考えろというような方針だったように感じます。

記者:ご両親も、先生だったのですか?

木村:父は地元京都の中学校の教師でした。自分が、奈良県の教師になる時に、車で荷物を運ぶのを手伝ってくれたことがありました。それまでは、正直なところ私は父が大嫌いでした。しかし、その車内での父との会話がきっかけで印象が変わりました。

あるスポーツの指導をしていた父は「俺は部活で〇千万使ったんや」と言い出しました。部活動には家庭の経済状況が絡むため、親御さんの積極的な協力も多くはない中で、父は休日には自分の車に生徒を乗せて移動したり、食事を取れない生徒に朝食夕食を食べさせたりなどしたと言います。そのようにして、経済的に困難な生徒が多い学校だったにも関わらず、生徒を何度も日本一の選手に育てたらしいのです。それまでは父親の生き方に興味がありませんでしたが、はじめてひとりの人間として尊敬することができました。

また、母に対しても見方が変わった時がありました。教師になる前に、母に幼少期にもう少し自分を塾に通わせるなどお金をかけてくれたら、社会的に有利な学歴で、大学に行けたのではないかという話をしたことがありました。その時に、母は「言いたいことはわかるけど。あんたが教師になろうって思ったのは私やお父さんを見てなろうって思ったわけじゃないでしょ。周りの先生とか周りの大人に支えられて、そのロールモデルを見ながら教師になろうって思ったんでしょ。だから、私たちが今すべきなのは、あなたにお金をかけるのもそうかもしれないけど、その恩を返していくこと、他の子たちのためにお金を使って行くことじゃない?」と話してくれたのです。母も元教師ですが、思慮深さに感心したのを覚えています。自分が教師になる前に、父親と母親からこのように話を聞けたのは興味深かったですし、今の「人の変容に関わる立場」としての活動に影響を与えていると思います。

記者:なるほど、ご両親の影響は大きいですね。

本日はご多忙中にもかかわらず、貴重なお話たくさんありがとうございました!

■木村さんに関する情報はこちら

【編集後記】
インタビューをさせていただいた帆足と阿部です。木村さんがファシリテートする教育のイベントにも参加させていただいたことがありましたが、木村さんのファシリテーション能力は本当に素晴らしいです!!もう既に唯一無二の一流のファシリテーターですね。全国的に活動されている木村さんのファシリテーションするイベントに皆さんも機会があればぜひ参加してみてくださいね^^ 木村さんの益々のご活躍を引き続き応援しています!!

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この記事は、インタビュー記事掲載サイト“リライズニュース・マガジン”にも掲載されています。


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