配信でヘタミュ過去作見た感想

今年の夏の''the glourious world''、(たぶん)ドーヴァーメイン回が来る。
ヘタリアを好きになってかれこれ10年くらい経ち、中でもずっとドーヴァーを推していたのですが、新公演のPVを見てこれは天啓だと思い、チケットを申し込みました。
そこで、ヘタミュは追っていなかったので、配信のレンタル視聴で、夏に備えて予習をしようと。

見たのは、新シリーズ以降の二本
①the world is wonderful
②the fantastic world
普段からあまり舞台は追わないタイプのオタクですが、
個人的に、ヘタリアのゆるくも少し毒のある世界観を継承している作品で、高評価でした。

①the world is wonderful(WW)
ヘタクラのわりに世界史には明るくないのですが、ストーリー含めすごく好きだった。
FWでも感じたのですが、優柔不断で気の弱い主人公(WWではイタちゃん)が、最初は周りに流されつつも、あれよあれよと渦中に巻き込まれ、最後は自分の意思・力で決断をするという次第。
ロマーノとの対比もよかったですね。最初はイタちゃんの方が現実が見えてなくて、理想論者。長いものに巻かれていたほうがいい、比較的保守的な兄貴の方が現実主義者だった。
話が動くにつれて、蹲って動けないロマに反し、だんだん覚悟を決めていくイタちゃん。
そんなイタちゃんの行動原理を物語全体で補強したのが、亡国となっていくプーの言葉だったんですね。「民衆が旗を振る方に、俺の意思で」
変わっていく情勢の中で、流されるのではなく、自分の意思で立ち向かい、選んでいく覚悟を本当によく表した言葉だなと。

今回メインだったこともあり、ヨーロッパ勢の「腹の探り合い」感がすごかった。特にドーヴァー、百戦錬磨の「利害の一致」の間合いというか、醸し出す空気感が殺伐としていて圧倒されました。
貴族さまの拭いきれない優しさも含め、個性や立ち位置がリアルでしたね。

また、メタ的にも3年越しの新シリーズ後最初の舞台だったということで、
テーマが「ただいま、おかえり」だったのが本当に上手い。
リアルタイムで追っていたオタクたち、咽び泣いていたんだろうな、いいなあと思いながら自分も涙ちょちょぎれていました。

②the fantasitic world(FW)
今回の主役は本田さん!
OPの音楽が非常によい。WWもよかったですが、全体的に歌がさらに上手くなっててびっくりしました。
個人的に、蘭兄さんのお声が本当に好きです。爽やかで聞き取りやすく、どことなく優しさが滲んでいる。

WWは国際情勢をなぞった話だったので、小ネタ多めで中和させながら全体的にはかなり重たい印象だったのですが、
FWはファンタジー要素も織り交ぜつつ主題も「お祭り」で明るく楽しい雰囲気かな。と思っていたが。

後半にいくにつれて、胸が痛かった。
気球に乗りかけた本田さんがメリと対峙する時のセリフ、演技、鬼気迫るものがあり、見ていて(本当にいい意味で)苦しかったです。
皆様も言っているように、ヘタリアはかなり時事的な部分が強く、リアルの情勢や関係性とリンクさせるかさせないかの瀬戸際にあるコンテンツであり、その加減の難しさが長年論点になってきたと思います。
その中で、舞台でここまでの内容をやってくれたことに本当に感謝しています。
ものすごく大きな覚悟があったのだろうと思います。
だからこそ、二重の意味でも、「自分の意思です」と強く言い切ったシーンに勇気をもらえた。
上記の、WWのプーの言葉も然りですが、鬱蒼とした今、このセリフの背負う意味にこそ、見つめるべき何かがあるのではないかと思わせてくれたようでした。ありがとう。


【総じて】
・役者さんのこと
繰り返しですが、自分自身舞台コンテンツには全く明るくありません。
なので、役者さんがどんな方だったりどんなルーツを持つのかは勉強不足なのですが。本当に全員、はまり役すぎて驚きました。こんなに仕上げるものなのかと。
個人的に、仏兄さまが本当に好き。笑
明るく愛想はいいのに、飄々としていて何を考えているかわからないところ。仏兄さまの魅力や内面が引き出されているようで、感動しました。
また、配信に上がっているのがどちらも千秋楽だったこともあり、
最後のライブパート、チャイ役の杉江さんが泣きながら歌いきってらして
もらい泣きしてしまった。特にWWは「おかえり」公演だったのでしょうから。
今目の前で起こっている人生をリアルタイムで見られるのが舞台のすごいところだと感じています。役者さんの思いのこもった演技や歌、言葉を見られることはこれ以上ない幸せなんですね。

・ヘタクラとして
私的に、ヘタリアの素敵なところは、適度に現実と隣り合わせなところだと思っています。
先述した通り、その危うさがゆえにコンテンツそのものが難しい立ち位置を強いられてきた部分はこれまでたくさんあったと思います。嫌な気持ちになってしまった方もいるのではないかと。
ただ、個人的にはコンテンツとして見る中で、ヘタリアのこういう部分がとても好き。特にヘタミュでは1公演完結のストーリー仕立てになっているので、ハッピーエンドやカタルシスを作る必要性があるのでしょうけれども(身もふたもない)。しかし、現実ではうまく言えず、巻き込まれ、変わることもなく、悔しい思いをする毎日ですが、そんな現状を打破するための気持ちや思いを代弁してもらえているようで。ある種、理想郷のような世界です。
公演の中で繰り返し語られていた諸行無常と、その中でも「自分の意思で」言葉を発し、向き合うことで、変えていける歴史。夢見がちかもしれないですが、私は信じていたいです。

・小ネタ、息抜き、歌
シンプルに小ネタが面白いです。
個人的にメチャ好きだったのが、WWの二つの大きな壁~の歌の、西親分が「お~れ!」って言って出てきたところ。もうあのシーンを見られただけで満足です。
WWのお兄ちゃん談義もわけわからんくてよかった。笑


これだけ息の長いコンテンツが今もなお現役で、こうして幅広く舞台化などもされていることが嬉しいです。
遅ればせながら、glourious worldで初めてヘタミュを現地で見に行くことにしましたが、こうして手軽に過去作を見られる状況にあることもありがたい。嬉しいですね。

ヘタリア、大好きです。

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