見出し画像

マウンテンキング

ヘイ、トロール!この記事は ボドゲ紹介02 Advent Calendar 2020 の6日目の記事です。昨日はNAOさんによる渾身の ON MARS のご紹介でした。
未プレイなのでぜひ一度遊ばせてください!(その時はマウンテンキングも一緒に。。)

私のマイベスト1、マウンテンキングについて語ります。私が本格的にボードゲームを遊び始めたのが2010年頃。ここ10年間で相当数のタイトルを遊んできた中での最上位、私の中のベスト1です!

ゲームの細かなルール説明はこの記事ではしません。素晴らしい動画やブログ記事を作成されている方々が沢山いらっしゃいますので、未プレイの方はまずはそちらをご確認ください。


ピラミッド型資源管理

マウンテンキングは、山の中をトンネルを掘り進めていくゲームです。プレイをはじめると、すぐにあることに気づくと思います。 

「このゲーム、資源かっつかつやんけ!」

トロールカードを1枚配置してもらえるリソースはごくわずか。トンネルタイル1枚配置するだけでもヒィヒィ言います。もう全然資源足りないです。はい、もう面白いですね。

このゲーム、序盤から中盤にかけてものすごく資源が辛い調整となっています。しかし、資源が枯れたカードを土台として新たなトロールカードを配置することで、下段の資源が一気に復活!

ゲームが終盤に差し掛かってトロールのピラミッドが完成してくると、序盤の枯渇は一体なんだったのかと思えるほど、有り余る資源が手に入ります。

集めるトロールの種類をある程度寄せることで、デッキ構築の要領で自分のプレイの方向性を定めることができます。

トロールカードは他のプレイヤーとの取り合いですし、狙ってる色の台座を取られてしまうかもしれません。レベルの高いトロールを獲得するとトロールに渡した賄賂を他プレイヤーにかすめ取られてしまうかも。この資源管理を巡ったプレイヤー同士のインタラクションが最高な訳です。



ネットワークビルドとピック&デリバー

「はじめは何もない原っぱのようなボードに、ゲームが進むことでプレイヤーごとのネットワークが構築される。」
この手のゲームは18系などの鉄道ゲームに多いです。都市と都市を鉄道で結んで、資源を運んだりします。

18系はプレイ時間も半日とかまる1日とかかかるし、なかなかプレイ機会に恵まれません。ネットワークビルドとピックアンドデリバーで、そこそこのプレイ時間(90分~2時間ちょい)でこの手のシステムを味わいたいなら、マウンテンキングはオススメです。

資源を駅から駅に運ぶ(固定ポイント TO 固定ポイント)ゲームは沢山あります。

マウンテンキングの場合は、開始位置は盤面で固定ですが、終了位置はプレイヤーが決めることができます(固定ポイント TO 任意ポイント
ここがユニークだと感じています。

手に入れた彫像は、プレイヤーの望むままにタイルを伸ばして好きなところまで運ぶことができます。より点数の高い山頂を目指してもいいですし、さらに台座の上ならよりベターです。でっかい大広間を作って、その中に彫像を収納してもいいでしょう。

ゲームが終わる頃には、発掘された彫像は大広間の玉座や山頂の台座に鎮座し、きらびやかな風景が誕生しています。先祖の土地を取り返して、これからトロールが生活する基盤が出来上がりました。

私はマウンテンキングを幾度となくプレイしていますが、1度として同じ盤面が出来上がったことはありません。次はどんな盤面になるんだろうとワクワクして、リプレイ欲求が高まっています。

余談ですが、私はマウンテンキングを遊んでからネットワークビルドとピックアンドデリバーのシステムの面白さを再認識しました。

他に似たゲームが無いかなと探しているんですが、この2つを併せ持つゲームって少ないんですよね。近年だと、ネビュラ(Via Nebula)、マウンテンキング(In the Hall of the Mountain King)くらいでしょうか。

この手のシステムでオススメのゲームがあれば教えてください。



タイル形状のいやらしさ

初回プレイでは、タイル配置のパズルが難しいと感じられる方もいらっしゃると思います。

あと1歩、タイルが伸びていれば、あの彫像に届くのに!とか工房まで微妙に届かない!とかが頻繁します。なにせタイルはL字やZ字にひん曲がっていて、まっすぐ進めません。

彫像はよりボードの内周エリアに、できれば台座付きで運んだ方が点数が高くなるため、1手番でより遠くへ進めるように5マスタイルを置きたくなりますが、そこで気づくのです。

「あれ?5マスタイルには台座置く穴が開いてなくない?」

このタイルの形状と穴の位置の関係性は、どいつもこいつも、憎たらしい形状をしていて収まりが悪くつくられてます。ディベロップの美しさを感じます。

また、誰かが大広間プレイでタイルを多く使い始めたら、注意が必要です。ニーズの高い形状のタイルは他の人も望んでいるものです。すぐに売り切れてしまうタイルを奪い合うインタラクションもまた一興です。



秀逸なプレイボードデザイン

2~3人用では秋マップ、4~5人用では冬マップを使います。マップの広さを変えることで、幅広いプレイ人数に対応できることは魅力の1つです。

このマップデザインがとにかく優秀です。ボードの外周エリアではボーナス資源は沢山得られますが、最終得点は低くなります。内周エリアは最終得点は高くなるけど、瓦礫が沢山あるためハンマーが多く必要です。

ゲーム開始時の入口付近は、ほとんどソロプレイといってもいいほど自由にタイル配置できます。しかし、山の中心部に行けばいくほど、エリア自体が狭くなるので、自然と他プレイヤーとのぶつかり合いが生じます。
「え、そこにタイル置かれると、もう私中央に進められないんだけど。。」なんてことが良く起こります。

序盤は資源が不足しがちなのと、彫像を集めるために外周エリアに行きたくなります。どのタイミングで舵を切って、山の中心部を目指すか。そこを考えるのがこのゲームの面白いところです。



台座配置の巧妙さ

ゲーム開始時、15個の小さい得点チップをランダムに並べます。「ちょっと面倒だな」と感じるかもしれません。しかし、この台座の得点チップこそ、このゲームの遊びやすさやに一役かっているのです。

ボードの5つの階層エリアごとに、3色の台座が1色ずつしか置けないというのを、この得点チップなしで表現していたら大変です。台座プレイする度に、既に他に置かれている台座を確認しなくてはいけなくなるし、間違いも頻発するでしょう。

台座の配置ルールは色々と複雑ですが、台座の配色についてはそれを感じさせません。なぜなら「台座を置くときは得点チップを取る。得点チップが取れない場所には台座が置けない」ということをシンプルかつ明確にプレイヤーに提示しているからです。

台座の得点チップが、単に得点が取れるというプレイの動機付け以外にもプレイしやすさに繋がっているところに美しさを感じます。



魔法のダイナミクス

盤面の横に常に3枚公開されている魔法カード、これがマウンテンキングというゲームに彩りを与えてくれます。

「すげー強い!今すぐ唱えたい」という強力なものから「うーん微妙、、誰かはよ唱えて次めくってくれぃ」というものまで様々な効果があり、誰もが今すぐ唱えたいものは奪い合いです。

この魔法、1枚1枚の強さがあからさまに強弱が異なります。おそらくこれは意図的なものです。強い魔法があるからこそ、人はそれを唱えたいと思うし、弱い魔法があるからこそ、相対的に強い魔法が際立つのです。

強い魔法だらけでは誰も通常アクションをしなくなり、大味でアメリカンなゲームになってしまいますし、弱い魔法だらけでは誰も魔法を使用なくなります。

この辺のバランスがちょうどよく、ゲーム展開に動きのムラ、リズムを与えているのです。ここの魔法システムが無かったら、地味でガチガチなゲームとなっていたことでしょう。

弱い魔法も、効果的に使えるタイミングが限定的というだけで、通常アクションよりも効率が良いことには間違いはありません。この辺は研究してみたいところです。

ちなみにこの魔法カード、時には弱い魔法が3枚並んで停滞してしまうことがあります。その際には、ルーンを消費することで呪文の空打ちができることを覚えておくと良いでしょう。


In the Hall of the Mountain King Rules: Rune(BGGフォーラム)
Official ruling from Burnt Island Games after discussing with the development team and designers:
You may place a rune on a spell and then not carry out the spell text, for whatever reason. It still counts as casting the spell.



ゲームの収束性

このゲーム、ゲーム中に獲得したトロールカードのピラミッドが完成したプレイヤーの2人目が現れたら終了トリガーが引かれます。

即終わりではなく、「誰か2人がピラミッドを完成させたら」なので、1人だけピラミッド完成させてもまだゲームは続きます。2人目が終了トリガーを引きそうなタイミングを見極めて、最善となるようにピラミッドを完成させる必要があるのです。

終了トリガーが引かれたあと、エクストララウンドで2周します。
「え、2周もするの?」と初プレイの方は思うかもしれません。でも、このゲームはトリガー引いたときがトロールのピラミッドが最頂点に達し、ゲームを通して最も資源を持っている状態なのです。あと2周しかありません。

この終了トリガーに関して他プレイヤーのピラミッドの進捗具合をよく見ていなければいけない感じも、プレイヤー同士のインタラクションです。このゲームに勝つためには常に他プレイヤーの動向にも注力しなければならず、ソロプレイ感とは無縁のゲーム構成となっています。



まとめ

いかがだったでしょうか。プレイヤー同士のインタラクションに次ぐインタラクションを楽しむのがマウンテンキングというゲームです。リプレイする度にプレイ展開が変わるため、飽きることなく遊べます。

私のボードゲームの好みとして、プレイヤー同士が殴り合う、いわゆるマルチゲームは好きではありません。また、他プレイヤーとの干渉があまりない、ソロプレイ偏重なゲームも好みではありません。

マウンテンキングは強めのインタラクションはありますが、決して殴り合いという感覚はありません

主軸はカードやタイルの早取りであり、一歩及ばずその選択肢が取れなくても、代わりの手段が多数用意されているためにマイナス・ネガティブな印象をあまり受けません。

ゲームシステムの新規性も見事ですし、プレイしていてゲームの端々にディベロップの完成度の高さを感じます。

基本的にノンリプレイ派の私が、ここまでのめりこんだゲームは相当久しく、まだまだリプレイしたいと思っているゲームです。この記事で、少しでもマウンテンキングの魅力を共感していただけたら幸いです。

マウンテンキングの私のツイートをモーメントにまとめていますので、よろしければこちらもご覧ください。

キックスターターでこのゲームを手に入れて、この素晴らしいゲームがもっと世の中で広まって欲しいと思っていたら、リゴレさんから日本語版が発売されました。思わず私も日本語版買いました。マニュアルも読みやすく、とても素晴らしいディレクションです。迷ったら買いましょう。

マウンテンキング - 楽天バトンストア


明日はかーんさんの「フードチェーンマグネイト拡張ケチャップ」です。
基本しか遊んだことがないので拡張の内容楽しみです!

ちと

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?