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良い演奏を聴くと、効く

2019年6月、モスクワ音楽院で開催されたチャイコフスキーコンクールのピアノ部門を友達と一緒に毎日聴きに行った。
予選は、昼の部と夜の部があり、両方を毎日聴くのは大変だったので、昼の部だけ行った。
そのため、藤田真央さんの第1次予選は、会場ではなく、ネット配信で聴いた。
「やっとこういう人が来た」と思ったのが、率直な感想だった。
というのも、予選は、バッハ、古典のソナタ、エチュード、チャイコフスキーの曲などで組み合わせたプログラムを演奏するのだが、すべてきっちりそろえてきた人は、藤田さんまでいなかった。
エチュードがすごくても、古典のソナタの解釈が破天荒だったり、エチュードが崩れたり、すべてをそろえるのが難しいと感じた一次予選だった。
ところが、藤田さんは、バッハ、モーツァルト、ショパンのエチュード、チャイコフスキーのドゥムカと、すべてその時代、様式に合わせた弾き方で、そろえてきた。
藤田さんの第2次予選は、会場で聴けるから楽しみだった。ショパンのピアノ・ソナタ第3番の2楽章が、素晴らしくて涙が出た。毎日会場で聴いていたが、客席のマナーが悪く、だいたい途中で電話を鳴らす人がいる。藤田さんのショパンの時に電話が鳴ったら嫌だなあと思ったが、弾き終わるまで電話の音が鳴ることはなく、みんなが聴き入っていた。弾き終わった後、なかなか鳴りやまない拍手。ショパンの後は、プロコフィエフのピアノ・ソナタ第7番。大変な曲を弾くから、少しでも手を休められるように私もたくさん拍手をした。2階席で聴いていたが、藤田さんのピアノの音は、他の出場者と比べて、小さい。プロコフィエフの音になるかな?と心配していたが、そんなことはなく、雰囲気がガラッと変わった。
当然、ファイナルに進出した。
ファイナルをネット配信で聴いていた私の知り合いのロシア人ピアニストは、「フランスのカントロフさんと、日本の藤田さんが優勝だ」と言っていたようだ。
カントロフさんの協奏曲を聴いた瞬間、私は、「あっ、この人が優勝だ。」と確信したほど、素晴らしい演奏だった。
結果、藤田さんは、2位になった。
連日会場で聴いていた時に、日本でピアノの先生をしている知り合いとメールでやりとりをしていて、「いい演奏を聴くと、効くんだよね。」と言われた。
どういうことかというと、いい演奏を聴くと、自分の演奏にもいい効果が出るということだ。
コンクール開催中は、忙しくてピアノの練習をしている暇はなかったが、コンクールが終わった後、久しぶりに練習をしたときに、いい演奏を聴いた効果を感じた。

そんな藤田真央さんは、最近、「情熱大陸」に出たことを一緒にコンクールを聴きに行った友達が教えてくれた。
情熱大陸の動画を探したら、友人の結婚式で結婚行進曲を弾くという映像があった。
コンクールから4年。
それで、聴いてみたら、手の形もよくなったし、相変わらずの猫背は気になるが、体が不必要に動かなくなり、ものすごくよくなっていた。
もちろんコンクールで2位になるのだから、その時もすごかったが、その後、ここまで変化してよくなったのに驚いた。


さらに、3月18日にYouTubeを見ていたら、偶然出てきたのがこちら。
気になって聴いてみたら、手の形がいいし、何よりも音がきれい。

75歳で、芸大を首席卒業!誰だ?

経歴の話の動画もあった。

そして、見ているうちに、私の院の時の先生と東京芸術大学で1学年違いであることと、私の大学の時の先生とウィーン国立音楽大学で2学年違いであることが分かった。
このピアノおばあちゃんの音を聴いて、映像を見ていると勉強になる。
そして、映像を見た後、早速練習して見たら、効いた。

3月21日(明日)に札幌でピアノおばあちゃんがコンサートをするようだ。
チケットが残っているか分からないが、お近くの方は、コンサートに行けるといいなと思い、急遽この記事を書いた。

【3月20日の過去記事】


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