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私がロシア生活でも大丈夫なわけ③

私がロシア生活でも大丈夫なわけはいろいろあるが、その1つは、チェーホフ全集をすべて読んだから。

2012年にチェーホフの講座があり、それまでは1つも読んだことがなかった。

村上春樹さんの「1Q84」の中に、チェーホフの「サハリン島」の一部が抜粋されていたのを少し読んだだけで、トルストイやドストエフスキーのように読んでいなかった。

その講座に向けて、1冊も読まないまま受講するのはもったいないと思い、図書館で全集を借りて、1巻から順番に読み進めて行った。

講座までにすべてを読み切ることはできなかったが、500近い作品を読んだ。

講座終了後も、チェーホフ全集を読み続け、2014年にはすべて読み終わった。

チェーホフの話の中で好きなのが、「サハリン島」「すぐり」「ワーニカ」。

チェーホフの話は、ハッピーエンドで終わることはほとんどない。どうしてこんな結末になるのかといつも思う。だからこそ、私の生活の方がましと思えることが多く、ロシア生活で困難なことがあっても、チェーホフの話と比べて前向きでいられる。

「サハリン島」を執筆する前に、チェーホフは結核と分かっていた。それでも、シベリアを馬車で移動し、当時は流刑地となっていたサハリン島へ行く。そして、緻密に取材をし、「サハリン島」を書きあげた。チェーホフは作家でもあったが、医者だったので、薬草に使おうと、サハリン島で見つけた「蕗」を持ち帰り、モスクワ市から南へ行ったチェーホフ市にある手紙の博物館に「蕗」が植えられている。

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結核と分かっていながら、険しい道を選んだチェーホフ。日本で安定した職についていた私が、退職しロシアへ嫁いだのと似ている。私も、チェーホフと同じように、険しい道を選ぶ傾向にあるようだ。

そのため、ロシアで困難にぶつかったときは、チェーホフの話やチェーホフの生き方を思い出すようにしている。そうすると、いろいろ乗り越えられる。

そして、ソビエト時代に出版されたロシア語版のチェーホフ全集もナウカ書店で購入済みなので、次の一時帰国では数冊モスクワに運んで読み始める予定。

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