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【再考】『エイリアン』をハワード・ホークス的お仕事映画として観る

本当はロベール・ブレッソンの『田舎司祭の日記』について再考映画批評を書こうと思ったのだが、新型コロナウイルスに感染してしまい、体調が悪いのでライトな再考映画批評を書きたいと思った。

9月6日(金)よりエイリアンシリーズ最新作『エイリアン:ロムルス』が公開される。

最近は、予習でゲーム「エイリアン アイソレーション」のRTA動画を観ているのだが、せっかくだから映画版一作目を復習することにした。すると驚いたことに、お仕事映画(プロフェッショナルの映画)として観ると面白いことに気付かされた。男臭い空間に女が入っていき場を制圧していく映画を得意とする監督にハワード・ホークスがいる。彼の作品と比較することで見えてくるものがあるのでは?

今回はこれを検討していく。

■陰翳礼讃としての宇宙船造形

人気のいない宇宙船。おもちゃの振動だけがある空間をじっくり見せていく。コックピットのパネルと宇宙服のカットを交互に挟み、宇宙船が自動的に起動する。不気味な物語の始まりである。

映画は全体的に暗い空間で展開されていくのだが、適切に金属部分へライトを当てることで、全体像が浮かび上がる。まるで洞窟を探検しているかのようなワクワク・ドキドキ感がある。VFX時代の今においては暗すぎたり明るすぎたりする傾向が強いのだが、セット時代の物理的きめ細かさが世界を作るのに貢献している。まさしく陰翳礼讃の世界だろう。

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