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世界遺産マイスターの平泉レポート

2024/8/30(金)~31(土)にかけて世界遺産である平泉へ友人と行ってきた。わたしと友人は今年、世界遺産検定マイスターを取得しており、単に世界遺産の造形や歴史をなぞるだけでなく観光地としてどうなっているのかを現地調査する目的があった。

ちょうど、私は直前にインドの世界遺産を巡ってレポートを書いたばかりだったので良いフィールドワークになると思った。幸いにも台風の動きが遅く、初日は雨だったものの、2日目は傘をさすことなく敢行することができた。

今回は、平泉レポートを書いていく。


0.平泉とは?

世界遺産登録年:2011年 登録基準:(ⅱ)(ⅵ)

正式名称「平泉ー仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群ー(Hiraizumi - Temples, Gardens and Archaeological Sites Representing the Buddhist Pure Land)」は、2011年に登録された世界遺産である。6世紀に中国、朝鮮半島から伝来した仏教が日本の自然崇拝と融和する。釈迦の思想が段々と正しく伝わらなくなり守られなくなってくる末法思想の広がりにより、独自の浄土思想が紡がれる。そして、この地、平泉で浄土思想を反映する空間が多数造られた。そのため、文化的交流を示す登録基準(ⅱ)が認められている。

また、併せて伝統・宗教・芸術との結びつきが強いため登録基準(ⅵ)も認められている。12世紀日本における浄土思想の死生観形成に庭園などが強く関り、現在でも宗教儀礼などに継承されているのである。

今回は、構成遺産である

・毛越寺
・観自在王院跡
・中尊寺
・金色堂
・無量光院跡

を訪れた。天気の関係から金鶏山は行かなかった。

1.毛越寺

入り口

まず、最初に毛越寺へと足を運んだ。この日は平日かつ雨ということもあり、人はほとんどいなかった。

池泉回遊式庭園、荒磯を意識した岩の配置となっている。

藤原基衡が造営した毛越寺は、度重なる火災によりほとんどが消失しており、銀閣寺(慈照寺)と比べると大分開けている。池泉回遊式庭園には荒磯を表現した岩がまるで枯山水のように並べられており興味深い。翌日に、世界遺産文化センターへ足を運び知ったのだが、毛越寺は紅葉の季節に行くのがベストらしい。

池の側でアヤメが育てられている。

毛越寺がユニークなところは、池の側にアヤメの畑があることだろう。通常、池泉回遊式庭園では盆栽のように整えられた木々が、建造物の魅力を掻き立てるような空間となっているのだが、基本的に跡地であるので、アヤメが栽培されている。人間の営みとの融和を感じさせる。

開山堂

現存するものとして、毛越寺を開いた慈覚大師円仁を祀る開山堂がある。天台宗の座主として活動し、三大旅行記である「入唐求法巡礼行記」を書いたことでも知られている。

芭蕉句碑

平泉にはいくつか、松尾芭蕉が句を詠んだ場所として句碑が立てられている。毛越寺では「夏草や 兵どもが 夢の跡」を詠んだとのこと。

常行堂

阿弥陀如来や秘仏摩多羅神が祀られている常行堂。注目すべきは屋根だろう。コケがびっしりと生え渡っており、そこから雨水が滴る。風情ある屋根である。

遣水

庭園を歩いていると、時折、ワジのような水の痕跡や小さな川を見つける。これは遣水と呼ばれるもので調査中に発見されたものである。そして、これは平安時代の遺構としては唯一かつ最大のものとなっている。

キノコが生えていた。
ゴルフ場みたい。

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