ピーナッツくん「Walk Through the Stars Tour」が最高だった件
なんだ??M83のような感傷さに、妙な恋情をねじ込んだ曲は?
2022年3月、私が物述有栖のASMR動画をキッカケにVTuber沼へ浸かりつつあった頃、ピーナッツの形をした存在が剣持刀也への恋情を語る「刀ピークリスマスのテーマソング2021」と邂逅した、。内容は内容だが、ラップの刻み方や音作りは超絶技巧であり、一度聴いたら忘れられない代物だった。
この豆、ガチで曲作っていたら凄いのでは?
と思って調べると、グミに対する恋情を豊穣な言葉センス、最後の晩餐やぐるナイなどを引用しながら語り尽くす「グミ超うめぇ」と出会い、すっかり好きになってしまった。
ピーナッツくんの楽曲は2010年代初期の星野源、それこそ「日常」や「ワークソング」のようにポップながらも翳りがあるものが多く人間味がある。中間管理職としての悲哀、労働者としての葛藤を抱える年頃の私には、ピーナッツくんの旋律から滲み出る苦悩が染みるのだ。
そんなピーナッツくんがワンマンライブをやると言う。渋谷でやると言う。
これはWHY NOT?行くしかないと思い、「Walk Through the Stars Tour」に行ってきました。とはいっても、スタンディングスタイルのライブどのように立ち回ればいいか分からない。「パリピ孔明」でヒップホップライブの雰囲気はなんとなく知っていたが、「現実」では初だ。少し怖い気もした。なので、前日に中野のライブハウスでバイブスの上げ方を予習していざ本番を迎えた。
仕事は16時フレックス退社。ピーナッツくんの楽曲に想いを馳せ、KFCで腹ごなしし、いざ渋谷 Spotify O-EASTへ向かったのであった。
本記事は、「Walk Through the Stars Tour」東京公演の感想となります。ライブ初心者の純粋な感想となります。7/11(月)の大阪公演行かれる方は、ネタバレになるかもしれないのでそっと閉じて来週に想いを巡らせてください。凄まじかったとご報告します。
緊張、狼狽の1時間
ライブは身軽の方がいいだろうと、ロッカーに財布とスマホ以外を投げ込み、会場に行く。入り口で風船を貰う。ワンドリンク制とのことでカウンターに行く。血迷って、レッドブルウォッカを注文してしまう。カップと一緒に余ったレッドブルも渡される。これで右手にレッドブルウォッカを左手にレッドブルを、脇に風船を状態となる。しまった!と思った。左手のレッドブルを飲み干し、中央に身構えることにする。
段々と人が集まってきて、会場の熱気も高まってくる。ヒップホップのライブは怖いイメージがあるが生きて帰って来られるのだろうかと不安になりながら、あと30分…あと20分…あと10分とカウントダウンしていき、そして時がやってきた!
VTuberは虚構ではない、「現実」だ!
こんにちにんにんぽんぽこだよー、こんにちナッツ、ピーナッツくんです!
眼前にお馴染みの画が広がる。ぽんぽこさんとピーナッツくんがVTuberとしてコントを始めるのだ。
そして、着ぐるみとなったピーナッツくんが降臨する。VTuberでありながら、パペット、着ぐるみとして虚構と現実を行き来するピーナッツくん。故に、虚構の空間から舞い降りる演出から始まるのだ。しかし、途中から彼は再びスクリーンに吸い込まれていく。
まるで『キートンの探偵学入門』のように、銀幕の向こうで「名取さな」や「おめがシスターズ」と歌い、踊り狂うのだ。着ぐるみとは違い、滑らかに動く。水を得た魚のように画面を動き回り、一回性の掛け合いが展開されるのだ。
VTuberなんて虚構でしょ?
そうかい?
と観客を独創的な世界に誘う。
オセアニアじゃあ常識なんだよ!
とVTuberの質感、2Dアニメの質感、そして現実のステージの質感を自由自在に行き来しながらバイブスを上げていく。これを観てVTuberなんて虚構でしょ?なんて言えるだろうか?
まさしくそこには「現実」があった。
肉体と精神は分離しているわけではない。VTuberの仮面であれ、そこには肉体と精神が密着したアイデンティティが存在した。そしてピーナッツくんは、チャンチョをはじめとする別人格を巧みに切り替えて、会場を虹色に彩ったのだ。
ライブの常識を変えた
今回の「Walk Through the Stars Tour」はVTuberであるピーナッツくんが、VTuberだからこそできることを模索し、徹底的に叩き込んだ公演だったと思う。YouTube動画から始まり、着ぐるみから再び、スクリーンへ飛び込み、3Dライブへ切り替える。3Dライブは驚くほどにヌルヌルと動く。そして、別の着ぐるみを纏い、機敏な側面を見せる。
「DUNE!」では、POP YOURSでも話題となったinkyagod(@theinkyagod)さんの非公式MVをバックに流す。そして、アンコールではぽんぽこさんが観客巻き込んでドッキリ動画を撮ろうとする。
そして「グミ超うめぇ」、「Drippin' Life」で締める。
ライブとしての表現の可能性、そしてスクリーンの中でリアルタイムに動く「現実」に衝撃、興奮が激りに激りました。
そうこう、書いているうちに7月5日になってしまいました。28歳を迎えてしまいました。サイコーの誕生日前夜を送れて大満足。
「おやすみグッナイ (feat. チャンチョ)」聴いて寝るとしよう。
私的ピーナッツくん楽曲ベスト10
1.おねがいマーニー
2.グミ超うめぇ
3.ピーナッツくんのおまじない (feat. チャンチョ & オレンジ博士
4.Fulltracker
5.おやすみグッナイ
6.Drippin'Life
7.ペパーミントラブ (feat. 名取さな)
8.幽体離脱(feat.チャンチョ & ぽんぽこ)
9.Expecto patronum!
10.Pokemon Purple
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