太った話

とにかくどれだけ食べても太らない自信があった。
それくらい俺は「太らない体質なんですよね」を地で行っていたし、何しろ20代が終わるまでしっかり50キロ代をキープしていた。

…しかし、2020年の最初の方、仕事にストップがかかり始めた頃からやや兆しはあった。

始めは少しうれしい気持ちもあった。
何しろ太ろうと思って太れないのだから、そういう体質だから、標準体重オンザレール、即ち俺が元来持っていた不健康さを取り除く要素のひとつだ。

食事は好きだし、甘いものも脂モノも好きだけど、俺は昔から薄味派だから食事に極端に気を遣わなくてもそこまで不健康な食生活はしていなかった。
ただまあ、昔より食えなくなったし、仕事が自宅待機になったことでだらだらもする。
そんなに長い期間ではないが、少しだけのんびりしていた。

それから色々あって2022年に転職。その前くらいに体重は増えてきていたが全然許容範囲内だ。ちょっとヤバいかもなあと言ったりもしたが、ほんの気持ち程度、これくらいの上下は今までもあった。
ただ、流石に運動はちょっとしたほうがいいなあと考えていた。

俺は身体を動かすのは全然好きじゃないし、最低限の運動らしいことも全然してこなかった。
20代半ばから最初の方は自転車に乗ったり、スケボーに乗ったり、ちょいちょいあったが殆ど気のせいレベルの話だ。

今までと環境が変わる事と言えば椅子に座ってやる仕事になった。
地味にずっと立ち仕事だったので、退屈と言えば退屈で、それなりに疲れる。

帰宅して購入したリングフィットアドベンチャーを週1ペースで続けていた。

が、10月ごろ、同居人、所謂彼氏が体を壊したりなんだりで、ちょっとバタバタする。
その時イベントに向けて本を出したり何かで更にバタバタサマンサタバサ…俺のリングフィット生活は再開せず終止符を打った。

この頃確かに体重は増えていたが、凡そ60キロ前半と言った具合でキープできていた。

そこからは…恐ろしい速度で俺は自らの体重を加速させていった。

健康を気にして12月に遂に完全禁煙をする。
それまで1日4本、2本と徐々に数を減らしていく事に成功していたので、めでたいことだ。

口寂しい感覚なんて無かったはずだし、そこまで食事量は変わっていないはずなのだけど…
太った。とにかく太った。もうイヤだ。
この話を俺がしているのがイヤだ。
普段絵でまん丸としたの描いているくせに…とか、それとこれとは別なんだよって言いたい。
誰にも言われてないのに言いたい。違うんだ、俺はそうなりてえわけじゃねえんだよ…。

サイズが合わなくなって買い直したズボンがもうきつい。座ると食い込んで痛い。
買い直したらもっと太りそうで怖い…。

ということで、運動を再開した。
今回は続けられるようにスクワットと、前からちょいちょいやってる腹筋ローラーと腕立て。
内容は俺が普通にすぐ嫌になるのでプランクと入れ替えたりしている。
しんどくならないように数は基本的に20回以下くらいにしている。

だけどね、心の言葉がね、止まらないの。
全然楽しくないの!あたしって運動本当に嫌いなんだと思った!
運動、楽しい?あたしってば全然『あーちょっと気持ちいいかも』みたいなもんないの。
体形が変わっていく嬉しさも無いし。
達成感とかさ。ねえのよ。感じねえのよ。終始辛いだけよ。
走るとかもさ、苦しいが勝ってるよ。景色とかさ、何?東京つまんね~!田舎育ちだから、町の風景、全部同じじゃ~ん。人もいるし。恥ずかしい恥ずかしい!あいつおっぱい揺れてる!とかケツでか!って思われてんだろうなあ。あいつの努力全部無駄じゃん草生えるとかさあ。あれ!?それって今も思われてるのか?

俺様ストリートファッション大好き!!もっとサイズを上げるぜ!!!

………冷静に考えると、母の家系の遺伝子が強い気がするので、母も祖母もまあまあ肉がついている。そういう素養は全然あるのだ。

そんなこんなで70キロ行きました。終わりだよ…もう。

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