大阪の街が繋いだ名前

「あなたたちは正反対だよね。」
大抵の人は口を揃えて言う、私とパートナーは驚くほどに正反対だ。
私は気が弱く人の目ばかりを気にしてしまう。パートナーは人の目なんてなんのその、常に自信に満ちている。私たち2人は数年前に大阪で暮らしていた。
なんのゆかりもないその土地で2年間働いて、ご飯を食べて、たまに出かけて、また働いた。
正反対の2人が同じ屋根の下に暮らすのは小さな気苦労が沢山存在した。綺麗好きな私と、気にならない彼。薄味の私と、濃味の彼。それでも袖摺れの日々を、賑やかな大阪の街の中で幾千時間と重ねた。
梅田の駅で大喧嘩したこともあった。地震に身を寄せて不安に怯えた夜があった。演芸場で上方落語に笑い転げた日があった。
そして私たちは今、大阪とは違う場所で暮らしている。相変わらず私たちは正反対だけど、大阪の街で過ごした時間が名字を同じにしてくれた。