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馬賊だった私は数百年かけて忍者になった

数百年前、私の祖先は馬賊だったそう。馬賊って何だよ感…心中お察しします。
「賊」とひと口に言っても海賊のような荒くれ集団とは違い、馬に乗って集落を守る武装自衛集団だったらしい。あれ、想像してたよりもカッコいいぞ?とちょっと思ったり。まあ、祖母からしか聞いたことがないので全く以って定かではないのだけれど。


数ヶ月前には軒並み上映延期だった映画も公開し、映画館も再開した。私は長らく気になっていた「Book Smart」という映画を見た。

あらすじ
成績優秀な優等生であり親友同士のモリーとエイミー。2人は将来のためにと学生生活の全てを勉強に捧げてきた。けれど卒業前夜、事態はひっくり返る。遊んでばかりだと見下していた同級生たちが実はハイレベルな進路へ歩むという。勉強一本の自分たちに対して、「勉強以外も楽しんでいただけよ」と同級生。2人はもう自信喪失。そして失った時間を1日で取り戻すため卒業前夜のパーティに繰り出す。そこで2人が過ごす怒涛の一夜とは。そこで2人が得たものとは。

青春映画だと高を括っていたら、驚くほどの返り討ちにあった。
2人の自己肯定感の高さには拍手しかない。びっくりするほどに前向きな姿勢、シスターフッド(女性同士の結託や絆)、驚くほどのエンパワー。
冒頭だけでも良いから見てほしい。きっと開始3分で2人の虜になるはず。(私はなったよ。)
新時代の高校生たちが育む、国籍やジェンダー、体型といった生まれ持ったものに対して良い意味で注視しない、フラットな視線に囲まれた新しくてカラフルな世界に心を揺さぶられる。

中でも、2人の掛け合いが涙が出るくらい最高で尊い。パーティに繰り出すためのドレスを選ぶシーン。2人はそれぞれにドレスを選び、せーのでクローゼットから飛び出す。

エイミー「え、、、、あんた最高すぎない!?」
モリー「いやいや、あんたこそ!!」
エイミー「可愛すぎて息止まるかと思ったわ。」
モリー「私はもう止まってる、吸入器くれ」

バチバチの褒め合い。マウンティング合戦ではなく、心の底からお互いを尊重してるからこそ出る賞賛合戦にもうニヤニヤが止まらなかった。

観賞後、観客が元気とやる気に満ち満ちる、そんな不思議な現象に驚いた。そして大好きな友人に会いたくなる。もっと言えば自分にはこんなに最高な友人が居るのだろうか、なんて考えてしまった。
そうやってモリーとエイミーを大絶賛していたら、ふと思い出したことがある。


専門学生時代のこと。
友人たちと話していたら唐突に始まった自分の嫌いなところ自慢。「私は〇〇だから自分が嫌い!」「私は××だから死にたーい」そんな風に笑いながら声高らかに自虐する彼女たちを前に私はやり切れない気持ちを感じた。

まだ人生20数年。あとこの何倍生きるか分からないのに自分が自分を肯定しなきゃ誰がしてくれるのだ、と私は思う。

他人はどんなに近しくなれても他の人で、自分はどこまでいっても自分でしかない。悲しいけれど家族であろうが、恋人であろうが、大親友であろうが、他人であることに変わりはない。

近しい他人は私を完全に理解することは不可能だし、私もまた他人を100%理解することは残念ながら不可能なのだ。だからこそ私は、私を完全に100%理解してあげたいし、100%許容したいと常日頃思っている。

自分に厳しいことが正義だと掲げる人もいるけど私はそれで首がしまるくらいなら甘やかしてもいいと思うのだ。

短所なんて数えたらキリがないけれど、嫌でもそんなもの他人に突かれるんだから、私はいつも、私を褒めまくる。褒めてくれないなら自分で褒めちゃえばいい。なんだかマリーアントワネットみたいだね。
良いものが出来たときには、私は私をべらぼうに自画自賛しまくる。そりゃあもう、忍者もびっくり忍法「私=最高。」の術。こんな令和の時代に、私は私を守る忍法を身につけた。
モリーとエイミーに負けないくらいには、私はどこまでいっても私の味方でありたいと思う。

かつて馬賊だった私は数百年の月日をかけて、忍者になりましたとさ。ニンニン!
めでたしめでたし。

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