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東京都町田市『そばの里ときわ』訪問記&蕎麦前体験記

 こんにちは。実に2か月振りくらいの更新になってしまいました。サボりの理由は置いときまして、今回は4月中頃に東京都町田市の『そばの里ときわ』さんに訪れたときのことを書こうと思います。

 提出が遅れた春休みの宿題を今更に取り組んでいるような気分です。


■ 表テーマと裏テーマ

 ときわさんには、当ファームの玄そばをお求めいただいた御礼とご挨拶をしに伺いたいと前々から思っていたので、ようやく実現できました。いつかお店に寄らせてもらいますと伝えていましたが、行く行く詐欺にならずに済みました。

 また、ときわさんは複数の産地の玄ソバをブレンドして使われているので、他の産地の品種について聞いてみたいと思っていました。そばの品種については後日触れる予定です。色々と貴重なお話を聞かせていただいて、粒が大きくて中身が詰まっていて香り・風味の豊かな玄ソバを育てたい、と身が引き締まりました。

 続いて裏テーマは、「蕎麦前」です。本記事ではこちらをメインに語っていきたいと思います。

■ 「蕎麦前」とは?

 蕎麦屋における江戸っ子の風習で、種物の具材を使ったつまみ(板わさ、焼きのり、蕎麦味噌、だし巻き玉子、天ぷらなどが定番)を肴にお酒を呑むというものです。そして締めに蕎麦を啜る。

 東京の蕎麦屋さんと縁がありましたので、郷に入っては郷に従えということで蕎麦前を愉しみたいと思った次第です。詳報は、ご一緒したEijyoさんの記事がありますのでこちらをご覧くださいませ。

 重複するところはありますが、私の目線から述べていきます。

◇ 銀盤

 まずは富山の銘酒『銀盤』があったのが嬉しかったですね。『銀盤』とは黒部ダムで知られる黒部市にある銀盤酒造さんの商品です。江戸っ子は灘の下り酒などを飲んでいたそうですが、現代に至り、そこに銀盤も並べられていたことに感激しました。普段飲んでいるお酒ですが、東京で蕎麦前で飲む銀盤は格別でしたね。とても澄んだ味の美味しいお酒です。

◇ 焼き海苔箱

 焼き海苔箱が出てきた時も気持ちが舞い上がりました。特に前もってお願いしてあったわけではなかったのに、スッと箱が出されたときは「何て心憎い演出をしてくれるんだ!」と唸りました。

 海苔が湿気らないだけでなく、時間が経つほど海苔が温められて香りが立ち上がってきます。わさび醤油につけて食べましたが、海苔をかじりながら銀盤が注がれたグラスを傾けている瞬間、何とも言えない風流さが感じられました。

◇ そば豆腐

 出していただいた料理はすべて美味しかったのですが、なかでも一番印象に残ったのはそば豆腐です。実は自分でも作ったことはありますが、どうにも粉っぽさが残ったんですよね。

 ときわさんのそば豆腐は、しっとりと滑らかな食感が桁違いでした。冷酒にピッタリです。美味しすぎて、もう一皿おかわりしてしまいました。

題『口の中をこの味でいっぱいにしたい。』

◇ 締めの蕎麦

 そして、最後に何と言っても蕎麦です。お世辞ではなく、十割でここまで麺がしっかりしている蕎麦は初めて食べました。コシがあって、途中で千切れることなくズズッと啜れました。そばつゆは、出汁とかえしの配分が良く、辛すぎず出汁の風味も感じられて美味しかったです。

 最初は14時くらいのお昼のピークを過ぎたころに伺おうと思っていたのですが、夕刻にしてよかったです。フルコースを味わったような充足感でした。

■ まとめ

 「蕎麦前」はこれまでに経験したことのない「飲み」でした。例えば居酒屋のメニューは脂っぽいものや濃い味付けのものが中心で、お酒がグイグイ進みます。それで気分も上がってきて、楽しく語らい合えるのが楽しさだと思います。

 蕎麦前は料理の味、お酒の味をじっくりしみじみと味わいながら楽しめました。鴨肉や天ぷらもあって、物足りないということはありませんでした。人は美味しいものを食べると愉悦を感じるもので、落ち着きながらも朗らかな雰囲気に包まれた席になりました。

 本当にいい時間を過ごせた、というのが率直な実感です。実を言いますと、僕は蕎麦屋さんにはお昼に入ることしかありませんでした。でも蕎麦屋で飲む良さを知ることができました。

 板わさで軽く一杯飲んでから蕎麦をサッと手繰るのが粋とも言われますし、じっくり腰を据えて飲むこともできます。ぜひ皆さんも余すところなく蕎麦屋さんを満喫していただきたいなと想った一夜でした。


 この記事を書くのに、改めて蕎麦前を調べていると焼酎お湯割りならぬ焼酎蕎麦湯割りというものを発見してしまいました。まだ肌寒い日もありますから、少しとろみがかった焼酎蕎麦湯割りは体を優しく温めてくれそうです。これはまた江戸に蕎麦前の実地調査に赴く必要がありそうですね。

 久しぶりの更新となりましたが今回はここまでです。深大寺にも行ってきましたので、次回はその時のことについて書こうと思います。それでは最後までお読みいただきありがとうございました。


 私ども茶屋ファームは富山県南砺市利賀村で主にソバの栽培をしている農業法人です。日頃の農作業や六次産業化の過程、そばを使った料理、蕎麦についての豆知識など色々と発信していこうと思っています。

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文中の画像は「ぱくたそ」さんのフリー画像を使用しています。

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