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第二の父

私が高校生の時、授業の一環で来ていた警察官の方との不思議なご縁のお話です。

私は運悪く、講堂の1番真ん中の1番前で体操座りでボーっと警察官の方を見ていた。
午後からのお話はとても眠たく、何言ってんだか遠く〜に聞こえる声をギリギリ聞いていました。

数分後に完全に寝てしまい、き終わったよって友達に起こされ目が覚めました。

目の前で仁王立ちする強面の警察の方に
「顔はしっかり覚えたからなおチビ」
と言われ、その目があまりにも怖くて教室に逃げ去ったことがありました。

それから3年後…
私は事情がありスナックでバイトをしていました。
ある日、新規のお客様がいらっしゃいました。
ビールを注文され、なんだか怖そうな人だな…
ギロっと見る目にビクビクしながらお酌
「わたしの顔を見て分からんかチビさんよ」
と言われても全く分からず…
「よう寝てたよな〜〇〇高校のおチビ!顔忘れてへんからな」 
と言われ一気に遡った記憶!
まさかの警察官の方でした。
なぜここで働いているのか、他には仕事してないのかなど事情聴取を受けた。

こんなご縁があろうとは…しかも警察官

私は一人暮らしで昼と夜バイトかけ持ちし、毎日とてもクタクタでした。
そんな私を心配だからと奥様と一緒にスナックに来てくれ、そのうちご飯までおよばれしに行くようになり父と呼ぶようになりました。

阪神淡路大震災…
奥様はお家の下敷きになり亡くなりました。
父はとてもとても落ち込み、私は必死で家に通いご飯を共にし家政婦のように側にいましたが、父がこの場所を離れる事を聞かされました。

父と離れて数年後…

父が滋賀県のとあるお寺にいると知り、会いに行きました。
護摩木を焚きお経を勢いよく読み上げる姿は、もうち父と呼ぶには…
でもやっぱり目が合った瞬間
「父ーーー」って駆け寄って泣いた。

そして小さな私の娘を抱っこし父が泣いた…
生きてる間に孫が見れたと喜んでくれた。

僧侶の道へ進んだ理由は、人の役に立ち自分と同じように愛する人を失う悲しみから、自分も人も救いたい気持ちがあったと教えてもらった。

ちゃつみ…
ありがとうと言える人になりなさい
ごめんなさいと謝れる人になりなさい
我慢せず頼れる人になりなさい
孤独にならぬよう人を愛しなさい

父から最後に教えてもらった言葉です。

父は認知症になり、私の事も分からないので代わりにお礼をと息子さんから葉書が届きました。
父は全てを忘れて亡くなった。

奥様の形見なんでもらって欲しいと手渡されたダイヤの指輪
時々出しては話しかけています。

ねぇ、父
教えてくれた4つの大切なこと
これだけはできてるよって言える!
娘も色々あるけど、とても頑張ってるよ
私の子?って言われるくらい優しい優しい子に育ったよ。
大きくなったでしょ
知ってるよね
いつも近くで見てくれてるんでしょ。

ありがとう父
私はまだまだ頑張ってくよ。

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