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谷口英治/新澤健一郎 56th Birthday Special at JZ Brat SOUND OF TOKYO Apr. 02, 2024

今夜は同年生まれの2人の誕生日の間の日スペシャルライフということで、ゲストも交えてゴージャスなセットです。
1stセットは谷口/新澤デュオからスタート。
優しい音色のスウィング。まずは2人のご挨拶、といったところでしょうか。続いては新澤さんのソロピアノで。C. Coreaの名曲の新澤さんアレンジ。オリジナルの作品との融合曲です。なんだか既にじわっと来ますね。
3曲目からはAQUAMUSEの皆さん。
素晴らしいアンサンブルで谷口さんアレンジのバッハの作品を。
更に谷口さんが参加してバッハ作品をもう1曲。柔らかで豊かなハーモニーが見事です。
5曲めはジャズのこれもお馴染みの1曲。打って変わってスウィンギーに。6曲目は更に趣向を変えてブラジル音楽です。
どの曲も切れと艶のあるアンサンブルが素敵です。
セットラストは新澤さんも加わって谷口さん曲。静かでふくよかな演奏です。

2ndセットはイチョウ五重奏団。
スタートは"Liberty City"イチョウ五重奏団の原点。このバンドならではのスリリングなアンサンブルがますます冴えています。天井が高く広いホールではそれぞれの音が分離も良く伸び伸びと響いています。緻密なアレンジの細部がよりよく見える感じです。
2曲目は太田さんの作品。チェロの深く豊かな音色がとても印象的な作品です。今日はかなり抽象的なノイズ演奏から開始。太田さんのalt-flの音色はいつ聴いても感動的です。
3曲目は谷口さんのシネマティックな作品。流石のスウィング。抜群にグルーヴィーです。次いでゆったりとスロースウィング。谷口さんのインプロヴィゼーションから。ところどころにチラチラと"Happy Birthday"のフラグメントを入れてきてなかなか愉快です。丸く柔らかい手触りのアンサンブルです。5曲めは作曲者Egberto Gismonti「公認」作曲者新澤さんのアレンジで"7 anéis"。圧巻のパフォーマンス。太田さんのソロインプロヴィゼーションが見事すぎて息を呑んで聴き入ってしまいます。曲中Soliでのもう殆ど1つの楽器ではないかと思うくらい恐ろしく揃った演奏は鳥肌ものでした。
次の曲からはAQUQMUSEの皆さんも加わって9人編成の豪華なアンサンブルです。新澤さんのジャズアレンジ「月の光」、今日は中間にチャーミングなclのアンサンブルも挟んで美しくゴージャスな演奏。セットラストは谷口さんの作品。賑やかにブルース。AQUAMUSEのメンバーもそれぞれにソロ。とてもグルーヴィーで楽しい演奏です。
あっという間の2セット。2人の誕生日、それぞれのプレイヤーの熱演に満場のリスナーも大拍手でした。
アンコールタイムは谷口/新澤デュオで"Memories of You"。しっとりと静かに、豊かに終わりました。

(付記)セットリストの下にイチョウ五重奏団のはじまりの時の記録を載せてあります。The beginning of"More Than Ten Years"。

Info.

date:Apr. 02, 2024

place:JZ Brat Sound of Tokyo

Personnel:

谷口 英治(cl)
新澤 健一郎(pf)
【イチョウ五重奏団】
 ・新澤 健一郎(pf)
 ・太田 朱美(fl, alt-fl, piccolo)
 ・谷口 英治(cl)
 ・帆足 彩(vn)
 ・橋本 歩(vc)
【AQUAMUSE】
 ・小田 祐子(cl)
 ・澤目 未樹(cl)
 ・山本 裕子(cl)
 ・中村 奈央(b-cl)

Set List:

1st.
・April in Paris
・La Fiesta ←→ Life
・G線上のアリア
・主よ、人の望みの喜びよ
・Sophisticated Lady
・Chega de Saudade
・2022年、春
2nd.
・Liberty City
・樹の詩
・Woody is Swinging
・Mood Indigo
・7 Anéis
・月の光
・MMH Blues
enc.
・Memories of You

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

付記〈はじまりの歌〉

 イチョウ五重奏団がまだその名を得る前、はじまりのときの記録を以下にそのまま載せておきます(かつて筆者が運営していた”ホームページ”のライブレポートに記載していたものの再録です)。
個人的に忘れ難い体験です。
表現に不遜な箇所もありますが、何卒ご寛恕のほどを。

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Live Report
春の大音楽会 at 西荻窪サンジャック
Apr. 24, 2010

新澤さんのディレクションに よる音楽会。
完全にアコースティック編成で、会場もSRなし。
素晴らしく良くサウンドするアレンジ、演奏をとても親密な空間で聴く事ができました。

ハイライトはいくつもありますが、まず「鼓動」。
あー、この曲ってこういう構築だったんだ、と思って聴いていると、バロック的な響きに。
素敵なアレンジだと聴き終わると、そこは楽譜無しだったそうで(解説によると『インチキ』だそうですが)、二度びっくり。

暗黙の了解のもとにインプロされてしまっていた、ということなのでしょうが、やはり共通の素養を持っている人たちが集まっていると、こういうこと が出来てしまうのだなぁ、と。

それから、チェロの響きの深く豊かで美しいこと。
木張りの床まで楽器の一部になったかのような、広がりのあるサウンドでした。

フルートの太田さん、何だかユニークなキャラクターの方ですが、気合の入ったインプロヴィゼーションが見事です。

今回がこの編成での初日だったとのことですが、機会があれば是非また聴いてみたいと思います。

          □□□

随分長く新澤さんの音楽を聴いているつもりではあるのですが、改めてその豊かな素養と深い音楽性を思い知らされました。
作編曲家として、演奏者として、そしてプロデューサーとして、本当に素晴らしい音楽家です。
どれだけの努力と研鑽を重ねてきたか、想像するだに余りあります。
もうひらすら、頭の下がる思いです。

■Info
Date/Place : 2010 Apr. 24 at 西荻窪サンジャック
Personnel:
・新澤健一郎(p)
・太田朱美(fl)
・土井徳浩(cl)
・会田桃子(violin)
・伊藤ハルトシ (cello)
Set List:
1st
・Frevo (E. Gismonti)
・Mood Indigo (D. Elington)
・鼓動 (E. Gismonti)
・天空 (K. Shinzawa)
・Liberty City (J.Pastorius)
2nd
・水脈をなぞり揺蕩いし白蓮の炎 (M. Aida)
・自然の切片 Ⅳ
・はじまりの歌 (T. Doi)
・恋ひ (M. Aida)
・7 Anéis (E. Gismonti)
encore
・風にそよぐ (K. Shinzawa)


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