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【南大沢土木構造物めぐり】No.6 名橋のそばの「目立たない」美橋 ~長池橋~

上記の写真は、橋の全景が写っていますが、この写真を解説抜きで見ると、前に歩道橋があること、その存在感を忘れてしまいます。橋は、2つの藤棚のような鋼製のオブジェのようなものの間にあたります。存在感が無いというか、むしろ、公園の中を歩いているような雰囲気を感じてしまいます。この橋の場所は、前回紹介した名橋、四谷見附橋のすぐ近く。公園の中のように感じてしまうのは、実は「松木公園」と「長池公園」という、道を隔てて隣接する2つの公園を結ぶ橋なので、あえて「橋としての存在感」を消しているのかと思われ、橋の上は公園の一部のような作りになっています。

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生垣の端部にさりげなく「長池橋」との橋名板があり、高欄・手すりや橋の外側は、生垣にカムフラージュされており、下を走る道路の存在が消されている感じがします。橋を渡り切ると、すぐに長池公園の森が迎えてくれます。

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一方、橋を道路側から眺めてみると・・橋台はレンガに見立てた色合い、橋桁は茶色いアーチに似せた形になっています。
そう、もうお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、隣接する長池見附橋に似せた意匠になっていると思われます。

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桁に銘板があったので、その内容をご紹介。
 歩道橋 1998年3月
 住宅・都市整備公団 東京支社 多摩ニュータウン事業本部
 上下部工 道路橋示方書 Ⅰ・Ⅲ・Ⅳ 1994年2月
 上下部工 道路端示方書 Ⅴ 1990年2月
 ポストテンションPC単純T桁橋
 上部工 コンクリート σ'ck=350kg/cm2 鉄筋SD295A
 下部工 コンクリート σ'ck=210kg/cm2 鉄筋SD295A
 施工 東亜建設工業株式会社

住都公団の銘板は、情報が詳しく書かれています。(肝心の橋名と設計者の名前が無いのが少し残念ですが・・)

コンクリートの桁橋を、鋼製のアーチ橋の長池見附橋に似せて作っていたのですね。ラーメン業界で言うところの、「長池見附橋インスパイア系」とでも言いましょうか(笑)。とはいえ、公園の利用客に愛用され、様々な工夫の詰まった橋と思われますので、長池公園や長池見附橋を見に来られた方、松木公園でテニスを楽しむ方など、そのついでにこの構造物を愛でるのはいかがでしょうか。

【アクセス】
長池公園へは、京王相模原線 南大沢駅もしくは京王堀之内駅からいずれも徒歩30分程度、もしくは南大沢駅・京王堀之内駅からバス「堀01、掘02、堀03系統」に乗り、見附橋バス停下車すぐ。



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