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『憐れみの三章』「支配と隷従」の珍奇さを嘲笑うダーク・コメディ

 

監督
ヨルゴス・ランティモス
脚本
ヨルゴス・ランティモス
エフティミス・フィリップ
製作
エド・ギニー
アンドリュー・ロウ
ヨルゴス・ランティモス
ケイシア・マリパン
製作総指揮
ダニエル・バトセク
ルイス・ラブグローブ
オリー・マッデン
出演者
エマ・ストーン
ジェシー・プレモンス
ウィレム・デフォー
マーガレット・クアリー
ホン・チャウ
ジョー・アルウィン
ママドゥ・アティエ
ハンター・シェイファー

【ストーリー】
自分の人生を取り戻そうと格闘する、選択肢を奪われた男、海難事故で失踪した妻が、帰還後別人になっていた夫、卓越した宗教指導者になるべく運命付けられた特別な人物を懸命に探す女……という3つの奇想天外な物語
(公式YouTube予告編より)


比較的エンターテインメント性の高かった『女王陛下のお気に入り』、『哀れなるものたち』から戻った、ヨルゴス・ランディモス監督本来の独特の持ち味を生かした原点回帰的作品だ。
 そんな今作は「支配と隷従」という関係性を皮肉に、意地悪に嘲笑い、そして時に厳しい現実を突きつけてくる作品だった。

 タイトルの通りそれぞれ独立した3話を、エマ・ストーンやジェシー・プレモンス、ウィリアム・デフォーといったスターを使い、ほぼ同じ座組で撮ったという一風変わった作品だ。  
  
 各話毎にキャラクターたちが置かれているのは「カネ」、「セックス」や「宗教」を基盤とした搾取システム。
 その頂点で人々をコントロールする人間の狂乱ぶりもさることながら、「隷従させられる側」もどんどん愚鈍に、さらには自身の暴力性をも開花させていく。
 この映画の最も恐ろしいところはとても珍奇な世界観を描きながらも、「隷従させられる側」が新しい「隷従させられる側」への暴力装置へと化していく可能性を描いているところだ。

 ダーク・コメディとしてもとても可笑しく、ディテールが豊かで、特にジェシー・プレモンスの「愚鈍な男」を演じる力量は最たるものだ。
 人体切断シーンでの「音」の演出もとてもリアルでサービスたっぷり。

 正直珍奇な世界観すぎて説明が難しいし、受け止めれない人もいるかもしれないが、とても良くできた快作なのは間違い無いです、オススメです!



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