見出し画像

"非売品"という魔の言葉

自宅の本棚には、自分好みの本が並んでいる。箪笥を開ければ、同じブランドの服ばかり。Tシャツからスウェットまで同じブランドで揃えられていて、我ながら笑ってしまう。音楽のサブスクはかなり前から存在していたが、最近では衣服や家電のサブスクなんかもあるらしい。実際に自宅の電子レンジと洗濯機はお借りしている。便利な時代になったもんだ。

昔はたくさん稼いで、いいモノを買うことが全てだったかもしれない。だけどこうも身の回りのモノが借りることで済むのなら、生活の中のどこに価値観があるかは人それぞれだ。

僕はどちらかと言うと、気に入ったものしか回りに置きたくない。衣服や靴はもちろん、傘もビニールだと味気なくて鉄線花の柄の傘を購入した。あと単純に綺麗好きなので無駄なものは置きたくない。

出かけ先ではやたらと現地ならではのモノを買ってしまう。そこに行っていない人からすればただのゴミかもしれないが、それを見るたびに旅の思い出が頭の中で巡るなら安いものだろう。ユニバとかで被り物買ってしまうタイプだ。買ったことないけど。特にモノに思い出があるなら、それに高額を払ってしまうのも対価だと感じてしまう。何か必要なモノがあれば、安価なモノで代用せず、出かけ先で探すか本当に好きなブランドで気に入ったモノがあるか探索する。探索している時間はまるで宝探しみたいで本当に楽しい。ここ何年か所用で東京に毎年行っているが、空き時間のほとんどは美術館に行くか、自分の大好きなモノに出逢いに行くか。その二択である。

最近になってフリマアプリをインストールしてみた。最近では古着屋さんや古本屋さんに売るよりもフリマアプリの方が高く売れるらしい。Twitterでフォローしているインフルエンサーさんはフリマアプリで葱を買っていた。なんでも片手で収まる時代になったのだ。

夜中にSNSで犬の動画を探索する代わりに、フリマアプリの探索が目下ここ数日のナイトルーティーンになった。深夜というものは恐ろしい。自分が好きなワードで検索すれば欲しくなる商品がいくらでも出てくる。多少傷がついていたり、年月による風化があったとしても魅力的な商品ばかりだ。僕は気がついたら、NBAのサンアントニオ・スパーズのジャケット、ナルニア国物語の懐中時計とブックカバーを購入してた。スパーズのジャケットは古着とはいえ高価であったが、日本では確実に手に入らない代物だ。supremeのスパーズジャケットを購入するか迷った挙句、他の人に落札されていたので、今回は見つけた瞬間購入ボタンを押していた。

(ナルニアの懐中時計。ロゴとアスランの紋章がお気に入りだ。)

幾つか購入して、自分が手に取る傾向が見えてきた。どうやら、僕は非売品に弱いらしい。店頭で購入できる高価なブランドモノよりも、それよりかは安価だがどこに行っても購入できないモノや現在では製造されていないモノに価値を感じる。
思えば大学入学前にマイケル・ジョーダンの日本では売られていないリュックを買った。高校を卒業したばかりのティーンエイジャーには背伸びした買い物だが、一目惚れしてしまった。

好きなブランドのレアアイテムはみんな欲しいと思うが、僕はそれ以上に思い出が含まれているモノが勝る。これまでは旅の思い出として、購入することがほとんどだったが、フリマアプリで幼い頃の思い出が蘇るモノなんて見つけてしまえば、間違いなく購入してしまう。深夜の魔法と親指でモノが買えてしまう現在のテクノロジーの組み合わせほど恐ろしいものはない。しばらく探索はやめておこうと、僕はそっとアプリを閉じた。


#買い物 #フリマ #ナルニア国物語 #エッセイ




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?