チャロに出会った日
2021年5月5日。
今日は我が家の猫チャロの4歳の誕生日。
チャロは私の半身で。
もう一匹の猫ステラも私の半身で。
…ん?じゃあ私そのものはどこにおんねんな。
話は遡りチャロは2017年5月に生まれた。
ペットショップに売られている猫や犬は誕生日がしっかりわかっている。
しかしチャロの誕生日の日付は正直なところ妄想だ。獣医師さんが
「誕生日は5月上旬かな」
と言ったから5月5日に設定された。
2017年7月26日。
チャロは縁あって我が家の一員になるのだが、7月14日以前にどんな生活をしていたのかはさだかではない。
わかっているのは
お腹に寄生虫がいたので蛙や鳥を食べていたこと。
チャロは体格も良い健康優良児だったことや思慮深い性格からチャロのお母さんは子育て上手だったこと。
7月14日になぜか一匹で動物愛護センターに保護されたこと。
チャロはペットショップで買われた子ではない。動物愛護センターから譲渡された保護猫である。
2017年私達は茶色い猫を飼うことに決めた。
2017年春に直感で生きている長男が妙なことを言い出したからだ。
「猫を飼いたい。茶色くて名前は『チャロ』がいい」
日頃妙な発言と行動を繰り返す長男のその発言はひときわ私を驚かせた。
だってその名は…。
とは言え、じゃあと即決する訳にはいかなかった。相手は命だ。動物の飼育には平均100万くらいかかると言われている。まずその費用をこの先20年出せるかと考えた。大丈夫だ。
ずっと愛情を注げるか、多分これも大丈夫だ。
ペットロスはやばいかもしれない。高校生の時一ヶ月くらい飼っていた金魚が亡くなって一週間泣いて過ごした。
ペットショップで買うという選択肢は最初からなかった。
これまでに本などを読み動物を飼う時は絶対に保護猫を飼おうと決めていた。
保護猫を飼うにあたり、動物愛護センターに見学に行った。
動物愛護センターというとどうしても暗くてジメジメした場所のイメージがあったが、その愛護センターは動物への愛情があふれた場所だった。
センターで講習を受けて我が家は譲渡先候補となった。
猫の飼育に必要なもの。食器や動物愛護センターと同じフード、猫トイレ一式、大きなケージ、ベッド、キャットタワーなど揃えていった。
猫グッズを揃え終わった頃、譲渡会に参加した。
そこで私達は運命の子猫に出会う。
私は実は勘とか感性が鋭いタイプなのだが
その子との出会いは一目惚れとかじゃなくて、出会った瞬間本当に
「あ、ここで待っててくれたんだね。チャロちゃん」
という確信した。
「この子がチャロちゃんやで」
と自慢げにいう一昨年亡くなった祖母の声が聞こえた気がした。
ところが人懐っこい子猫が多い中、チャロはケージの隅で上目遣いで辺りを伺いながらトイレに座ってブルブルブルブル震えていた。
センターの人が
「この子はすごく神経質で慣れるのに時間がかかると思います。」
と心配そうに言った。
センターに保護されて約2週間。ずっと怯えていたのだという。
でも私は「この子はうちのチャロだから」と思っていたので
「触らせてもらってもいいですか?」
と聞いた。
センターの人がケージの扉をあけるとますますチャロは怯えて
「シャーッ」と威嚇をした。
金魚しか飼ったことがない私はちょっと怯んだけど思いきって
そっとチャロの頭を撫でた。
チャロの怖い目がちょっとだけ緩んだ。
次に長男が近づき
「チャロ、迎えに来たよ」
とごく自然に言った。譲渡会は抽選でその時点でチャロが家にくる保証はどこにもないのに。
長男が頭を撫でていると
チャロはゴロゴロと喉を鳴らした。
ブルブル震えながらも、喉を鳴らした。
「うちの子になってくれる?チャロ」
その日、我が家に新しい家族が増えた。
名前はチャロ。
チャロはその後お腹から寄生虫が出たり、ステラという同居人が増えたり、様々なことがありつつも元気に過ごしている。
朝、皆の枕元で喉を鳴らして起こすこと。
昼、帰ってきた家族に擦り寄って挨拶をしてくれること。
夜、誰かの布団に潜り込むこと。
落ち込んでる人の隣に寄り添ってくれること。
チャロのお母さんが頑張って育ててくれたからチャロに会えた。
動物愛護センターの方の愛情があったからチャロに会えた。
どうか長生きしてね。一緒にいようね。
お誕生日おめでとう。
我が家の飼い猫、名前はチャロ。
実は「チャロ」は今は亡き私の祖母が30年以上前に飼っていた茶色い猫の名前だ。
私も祖母と同居ではなかったし私ですらしばらく忘れていたチャロの名前を、あの時なぜ長男が突然話し出したのかはわからない。
そして当然、どちらのチャロもそれぞれのチャロだということも理解している。
ただただ、亡き祖母の
「おばあさんにまかせときー!!」
と笑う顔だけが思い出される。
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