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㉔スプーンの共有をやめてほしいとお願いしてみた結果 1

2005年に娘が生まれた。その時、「ほぼ日刊イトイ新聞」に菌についての連載があり、「虫歯菌は唾液を介して親から子にうつる」「親が口で噛んで柔らかくした食べ物を与えたり、3歳まではスプーンや食器を共有したりしない方がいい」と知った。
離乳食を始めた時、自分では厳密にそれを守った。問題は義母だった。
「虫歯菌がうつらないよう、箸やスプーンを一緒に使わないでください」
と、頼んでみた。
「じゃあどうやるの」
「別々に使ってください。というか、一つの物を一緒に食べないでください」
「んあー」
口では一応承諾したような声を出したが、顔は「なんでそんなことをしなきゃいかんのだ」と言っていた。歯も生えていない子に飴をやろうとしたこともあり、「飲み込んだら危ないです」と止めたら、「大丈夫だ」と言い張っていた義母なので、私の意向を汲んでもらえるかは大いに疑問だった。
やがてその疑問は、「意向を汲んでもらえるかどうか」から、「どうして毎回毎回、うちに来るたびに、自分が食べている物を子供の口に入れようとするのか」に変わった。
「それはやめてください」
「ウェー!(なんで)」
「虫歯菌がうつるので…」
このやり取りを何十回もした。
後に息子が生まれたときも同様だった。ある日、義母にケーキを出した。すると義母は息子を食卓まで連れてきた。そして自分の膝に座らせてから食べ始めた。私は嫌な予感がして、息子を抱き上げて向こうに連れて行こうとした。
「ウェー!」
「お義母さん、自分のフォークで〇〇(息子)に食べさせるでしょう?」
その時義母は、仕方なさそうに微笑んで、まるで駄々っ子を宥めるように、
「そんな事しないよ」
と言った。その表情に騙された。その日は確かにしなかったが、次の週に、まず自分がケーキを一口二口食べた後、すごい速さで息子の口に次の一匙を入れたのである。
以前、そうされそうになった時、私がさっと手を出して義母の箸を防いだ事があった。だがこの日は、それが間に合わなかった。落胆する私。義母はとても嬉しそうに、息子に「美味しいだろー?」と声をかけた。義母は復讐を果たした。

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