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音響オペレータとしての心得


 ミキサー卓を操作するオペレータとして何を基準に操作すべきかという話。
 ハウリングさせないとか、
 観客に聞こえるように音量を操作、
など当たり前の話はおいておいて、
 僕が一番に考えているのは、ステージ上の演者を同じステージの上に立たせてあげること。

1.距離感を合わせる
 あたりまえじゃない?同じステーの上にいるんだから、と言う人もいると思いますが、これが意外に難しい。
 ステージ上には、
 1)マイクを持ったボーカル
 2)生ギターをDIにつないだ人
 3)生ギターをマイク撮り
 4)エレキベースをDIでパラってステージ上でベースアンプを鳴らす人
 5)キーボードをDIでパラってステージ上でキーボードアンプを鳴らす人
 6)キック、スネア、ハイハット、タム、シンバルをマイク撮りするドラム
などがいるわけで、大きく分けると、
 PAが無いと音が出ない人(ボーカルとか生ギター、キーボードなど)
 PAが無くても音が出る人(エレキベース、エレキギター、ドラムなど)
の2種類です。
 ホールのサイズによって、PAの立ち位置(役割)が変わります。
 小さいハコだと、PAが無いと音が出ない楽器のお世話だけですが、ハコが大きくなるにつれて、PAが無くても音が出る楽器をしっかりPAしてあげないといけなくなります。
 大ホールなど生音が全く届かない場合のほうがPAとしては楽です。
 全部PAから音を出せばいいので、federとPADの操作でコントロールできるからです。
 
 ホールがそこそこ大きい場合、ドラムの生音が聞こえるくらいが一番ややこしいです。
 キーボードやボーカルをリバーブ無しでフロントに出せば、観客からはごく近くに演者がいるように聞こえます。
 一方、ドラムの生音はハコの反響を伴って聞こえますので、観客からは遠くに聞こえます。
 この距離感の差で、ドラムとボーカルが同じステージに立っているようには聞こえなくなります。
 「ドラムなんてPAから音出さなくても生音で十分じゃん?」と思わずに、PAから音を出さないと、距離感が揃わないのです。
 もう一つのやり方は、ドラムは生音でいいとするのなら、あとのキーボードやボーカルに相応のリバーブを掛けてドラムと距離感を合わせることです。
 これが「同じステージに立たせる」ということです。
 
2.楽器のことを知ろう
 音響オペレータは、楽器の知識、音楽の知識が不可欠です。
 大抵の楽器は、演者が音を作ってラインで卓に送ってくれるので、イコライズとリバーブ程度で済みますが、ドラムはマイク設置からオペレータの仕事です。
 各マイクのレベル、イコライズ、バランス、リバーブなどを卓のオペレータがいじった結果は、ドラマー本人が聴くことはできないので、音響オペレータ自身にドラマーと同じだけのドラミングスキルが必要です。
 スネアとハイハットのバランスには気を配らねばなりません。
 スネアとハイハットでは生音で届く距離が違います。 
 生音でスネアが聞こえてるからと言うだけではハイハットや、スネアの小技がPAに乗っていないことがあります。
 ドラマーが自分で聞いているドラムの音がPAから出ているか?を確認するために、卓にしがみついていないで、一度はドラマーのそばで生音を聞くようにしましょう。

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