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論文要約「二元論について」ー現代におけるカント哲学の意義


書誌情報

要旨

 カント哲学においては二元論が語られ批判に晒されている。しかし、「超越論的統覚」を主とするカントの二元論は矛盾を孕むものでありながら、人間の主体性・道徳性の根拠としての歴史的意義をもっている。意識・人間について問題にする限りでは、カントの二元論は乗り越えらていない。

問題設定

  1. カントによる二元論を基調とする学説は乗り越えられるべきものなのか?

  2. 二元論は完結した体系性をもつ必要があるのか?

  3. 二元論的な思考をとらせた理由はなにか?

1について

  • NO

    • デカルト説による「近世的二元論」を前提とした心身問題の議論は機械的唯物論に陥るため、一元論に行き着く

    • カントの二元論は、一元論的思考が独断主義か懐疑主義に陥ることに対する批判である

      • 「超越論的統覚」によって、我々の意識が事物と同じ平面上に生起する心的過程に過ぎぬものではないことを示した

    • 道徳性の根拠づけがこの二元論では可能となる

2について

  • カントの二元論には矛盾がある(体系性に対する疑念)

    • 「経験的」と「超越論的」という規定における矛盾

  • しかし、矛盾を宿したものとして意識をとらえたことに歴史的意義を認める

    • 近世における主体概念の確立

3について

  • 1,2についての内容が回答にあたると思われる



感想・コメント

  • 「超越論的統覚」についてそもそも充分に理解していないので難しかった。

  • 横軸としての「意識」と「対象」に対して、縦軸として「超越論的統覚」と「物自体」を置いている構図である。

  • 二元論がカント道徳論において重要な位置づけを持つことがわかった。

  • カントは二元論であることに気づいて検索して見つけた論文でした。やはり、そもそもカントが二元論とされていることについてわかりました。

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