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違う図書館に本を返してしまった

 住んでいる市の図書館で借りた本を、勤務先がある市の図書館の返却ポストへ誤って返してしまった。図書館利用歴は長いが、このうっかりは初めてだった。

 間違ってますよという連絡の電話が、本を借りたほうの図書館から入った。返した先の図書館が預かってくれているので取りに行ってほしい、ということだった。

 期限ギリギリの「返却」だったから急いで、預かってくれている図書館へ行って受け取りに行った。

 電話で指示された通り、指定のカウンターで事情を説明したところすんなり本を返してくれた。両館の図書館カードと身分証明書類は一応持っていったのだが、提示は不要、記入書類もなしとのことだった。曰く「連絡が行ってちゃんと取りに来てくれている時点で、確認はOK」とのことだった。

 今どき物の引き取りで本人確認も署名もしなくていいとは、公共施設の割に大らかなもんだなと思ったが、ふと帰り道に「図書館の自由に関する宣言」を思い出した。

第3 図書館は利用者の秘密を守る
1. 読者が何を読むかはその人のプライバシーに属することであり、図書館は、利用者の読書事実を外部に漏らさない。ただし、憲法第35条にもとづく令状を確認した場合は例外とする。
2. 図書館は、読書記録以外の図書館の利用事実に関しても、利用者のプライバシーを侵さない。
3. 利用者の読書事実、利用事実は、図書館が業務上知り得た秘密であって、図書館活動に従事するすべての人びとは、この秘密を守らなければならない。

日本図書館協会ホームページ「図書館の自由に関する宣言

 合点がいく。恐らく、誤返却先の図書館は、引き取りに来た私が何者かを貸し主の図書館から伝えられていない。ゆえに本人確認する意味がないということだろう。

 こういうオペレーションの一つ一つに、ルールの思想が行きわたっているのが図書館の良いところである。

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