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ことば「ドアノブが」

つまめたら。つまんで。つまめたら。ひねりあげて。優しく。して。ひねらねば、とにかく。繰り返して、ひねらねば、醤油に、つけたり、して。焚きつけて、とにかく待って、焚きつけて。ちょっと待って、助けて、もう嫌だ、ならば、少し、置いて、しめしめと、若返ったり、ならば、すぐに死んだり生き返ったり、ならば、細かいざらざら、さんざんまぶしたり、さんざんまぶしたり、して、大きな渦のなか、ニコニコ、ニコニコ、笑ったり、大々的に、暖かく、暖かく、あたたたたかく、調整したり、して、つまんで、ぎゅむっと、ぐるぐるっと、暑いねー、異常だねー、って笑いあったり、知らないほうに、叫びあったり。大嫌い。大好き。普通。もうとっくの未来に。一緒に、離れ、離れ。あい、だの、ことばかり考えている、からって、餌のことを考えたりする猫はもういなくって、踊って、少し、そよいで、脱ぎまくったらすすいで、向かいあって、いくらかばかし、手を、手を、手を、振るんだから、この角度で、この角度で俯いておけば、いいんだから、オールソングで迎えうって、部屋で、片隅で、小さな声で、箱で、バラバラに、並んで、シャワールームに、それぞれに、それぞれの、声が、声が、声が聞こえたら、聞けたら、聞こえなくっても、音で合わせて、委ねてうねりあがって、クリームが乾かない程度に委ねて曲がり切ることもなく、委ねたら、当然の、だが非常時の、口の中のものはまず飲み込んで、胃のなかで、諦めることなくゆっくりと、海に海に、戻して託して、海へ、戻したら、託して乗り込んで。街へ、みらいへ、街から街へ、チケットを。配りあって、あいしたら、それはあいで、あ、すぐに、引っ掛けて、引っ掛けあって、耳で、耳で、睨みを利かせて、さけを、さけめを、うるおして、頭の中の男の頭をつまんで、つまみあげて、つまみあったら、ひねって、ひねりあげなかったりして、繰り返して、叩きつけたりは決してしないで、焚きつけて、待って、焚きつけたら、待って、ちょっと待って、考え直して、テーブルに、少しだけ、置いて、少し、眺め、たら、沈黙、して、老い、て、若返っ、たり、死ん、だり、しながら、沈黙しなさい。細かいざらざらをまぶしなさい。大きな渦をニコニコ笑ったりしなさい。大々的に暖かくしたりしなさい。暑いね、異常だねって、知らない空に叫んだり、しな、さい。もう、とっくの未来に、はやく黙るのです、と言われたって、愚かな、まっすぐな、寝技を、一緒に、離れ離れに、僕らのことを考えたりする猫はもういなくっても、踊って。基本はそよいで。向かってくるのを抱きしめたら、ともに振り返って、な、歌おう。部屋で、片隅で、小さな声で、箱で、バラバラに、並んで、シャワールームで、声が、声が、声が、聞こえたら、音に、合わせて、身を、委ねて、クリームが乾かない程度に絶対に、当然のことだが非常時は、口の中のものをまず飲み込んで、飲み込んだふりはしないで、諦めたりせず、日々のなか、飲み込む音なんてすぐに聞こえて、ゆっくりと、海に、海に、絶対に、海に、飲み込んだりしないで注文したら、すぐに溶けてけ、針をのせて、耳でくるんで、睨みを利かせて、そこで飲んでいる男が、僕です。それをつまんで口に放り込むのも、僕です。そういえば、さっきから、ドアノブが。回転しているけれどあれは、なんだろう。壁に刺さったドアノブが。ドアは、ないんだけど。ドアノブが。いま、いまだ、かつてない、いまを、いま、みんなで、飲み込んで。ドアノブ。(時間まで沈黙)

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