見出し画像

よみぐすり「超人」

長女「だるいな。からだが。よみぐすりでも読むか」

歩きざる蕎麦定食しているイヌのポロチカが、ワンワン県へようこそと鳴いて、インコを肩に乗せている男たちに突進、ワンコ!ワンコ!と嬉しがるインコと男たちに、にゃーにゃにゃにゃにゃー。スタンダップコメディアンが全く立ち上がらないから、みんな帰った。すぐ隣にいる男が倒れた。みんな笑って、正確に救急車を呼ぶ。どこからどこまでが俺なんだろう。大道具のマンホールが開いて演出家が割と遅めの飯を食う。寿司の神様だ!寿司の神様だ!マリンルージュが少しずつくだけちるのを頬杖をついたイヌのポロチカが、にやけたクリームソーダに囲まれながら見つめている。パソコンを起動する。照らされる。照れる。照れ上がる。とれる。カポって。ポロチカ以外の、すべてが。そして、3日経ち。すべて、すべすべ。元通り。今度は、ポロチカの番、だ。鼻息を数秒。たぶん、なにか、あるんじゃないかなぁ。目を凝らすが字しか見えない。そろりそろりと背後にカメラが近づく。みんなの楽器を持つ手が泡ぶく。けっこう歩いたね。歩いたー。

ここまで読んだ長女は、超人と書かれた、よみぐすりを飲んで、眠りにつきました。かるいな。からだが。夢のなかで何度も何度も思いました。

起きると、風邪はひどくなっていました。
が、長女は、もう、超人の長女でした。

長女はもう、これ以降、
超人の、長女でありつづけたのでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?