バーボン独特の製法=サワーマッシュ製法を学ぶ!《サワーマッシュ製法③》
■バーボンの仕込み水は「硬水」&「アルカリ性」
前回までのまとめです。
うーむ。なかなか難しい話・・・
■今一度、pH値の比較
◇代表的なpH
「C:ライムストーンウォーター+砕いた穀物=マッシュ」に、
「A:蒸溜残液」をぶち込んで、
「B:pH値の範囲内」にマッシュのpH値を酸性化している
のが、サワーマッシュ製法なんです!
なんかすごい工夫ですね!
■サワーマッシュ製法につかう蒸溜残液
前回もお話ししましたが、バーボンは「ビアスチル」という連続式蒸溜機で蒸溜してからの、「ダブラー(orサンパー)」という連続式蒸溜機でさらに蒸溜する『連続式蒸溜機の二刀流』で、原酒をつくります。
蒸溜によってモロミからアルコール分を全部取り切った後に、ビアスチル(1回目の連続式蒸溜機)の底に残った蒸溜残液(スティレージ、スロップなどと呼びます)を、サワーマッシュ製法では使用します。
ただ、このスティテージには固形分が含まれているので、それを分離してから使います。この固形分がなくなった液体がバックセット(セットバック、スィン・スティレージとも呼びます)で、pH値が3.5~4.5で相当な酸性の液体です。
ちなみに、取り除かれた固形分には、アルコールが抽出された後でも栄養価が残っているため、家畜の飼料やペットフードなどに再利用されたりします。
■バックセットはどれくらい加えるの?
バックセットを糖化槽にどれだけ加えるか(戻すか)は蒸溜所によったマチマチです。
仕込み水の15~20%を加える蒸溜所もあれば、30~40%ほども加える蒸溜所もあるそうです。
また、バックセットを加える槽についても、複数のパターンがあります。
そして、サワーマッシュ製法の目的を端的に言えば、以下の2つです。
この目的が達成できさえすれば、あとの細かいやり方は蒸溜所次第で、それがまた最終的なバーボンの味わいにも結びつくのだと思います!
■サワーマッシュ製法の発明者
これは複数名の名前が伝えられています。
色々な発明がそうであるように、同時期に同じ方法で、チャレンジしていた人が、何人もいたということでしょう。
ただ、一番有名なのは、スコットランドからの移民にして化学者&蒸溜職人のジェームズ・C・クロウ博士です!
クロウ博士は、オールド・オスカー・ペッパー蒸溜所などで活躍しました。
この蒸溜所は古くからの名門ですが、色々と売却されたり、不景気で閉鎖されたりしていましたが、ブラウンフォーマン社(テネシーウイスキーのジャックダニエルで有名な会社)によって、1996年にバーボンづくりが再開されました。
2003年にウッドフォードリザーブ蒸溜所と蒸溜所名が改称され、現在に至っています。
その蒸溜所名の通り、洗練されたバーボンウイスキーとして有名な「ウッドフォードリザーブ」をつくっている蒸溜所です!
■クロウ博士の名前が残っている商品
サワーマッシュ製法の生みの親(の一人)として有名なジェームズ・C・クロウ博士ですが、商品名にその名前が残っています。
◇オールドクロウ
オールド クロウ 700ml瓶 商品情報(カロリー・原材料) サントリー (suntory.co.jp)
クロウ博士のクロウ(CROW=カラス)にかけて、ラベルにはカラスのイラストが描かれています。
このブランドはオールド・オスカー・ペッパー蒸溜所のように、売却されたりと転々として、今はジムビームの傘下のブランドとなっています!
■サワーマッシュ製法まとめ
以上で、「軟水・硬水」の解説からはじまり、「バーボンの仕込み水=ライムストーンウォーター」からの「サワーマッシュ製法」の説明を一旦完了します。
皆様、長々とお付き合いありがとうございました!!
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