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[読書]裸の華 桜木紫乃

 怪我が元でストリッパーを辞めたノリカが再出発の為にたどり着いたのは、彼女の原点となる街札幌。彼女はそこで、のび太の様な風貌ながらも凄腕のバーテンダーと2人の素質ある若手ダンサーを雇い、ダンスを売りにした小さな店を開いた。そこから1年のお話。

  著者の作品独特のジメジメしたところや不穏な場面を期待して読んだ読者は肩透かしを食うかもしれないが、主人公ノリカの自分の仕事に対する凛とした矜持が感じられ、カラッとした印象の良作に仕上がった。彼女の芯の強さは正に著者の得意とする女性像。一度彼女の踊りを観たいなと思わせる。

  ところでこの本の解説では、著者が実はストリップの熱心なウオッチャーであり、足繫く小屋に通っていたことが書いてある。その経験があるからこそ、ストリッパーという職業についておかしな偏見なく書き切れていると思う。コロナ禍、ストリップ業界も大変だろうな。踊り子達はどう生きているだろうか?

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