センセイの鞄 川上弘美
ツキコは、とある居酒屋で高校時代に国語を教わったセンセイに再会する。高校時代は特段印象もなかったのに、何度か会ううちに、お互いの嗜好が似ていて傍らにいて居心地の良いことに気付く。どちらかというと大雑把そうなツキコと、飄々としたという表現が似合いそうなセンセイは次第にその間の距離を縮めていく。2人は、お互いの年齢差ゆえかそれが恋であることには気づいておらず、あくまでも淡々と付き合いを重ねていく。そのことはちょっとじれったくもある。しかし、ジメジメしたところのない大人の恋のお話