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大企業でイノベーションを推進する方法(その2)

私は米国大学院でイノベーションについて学んでいる。前回の記事で、イノベーションの定義、種類について解説したが、今回は「社内」のイノベーションを推進する方法論について、具体的に解説したい。

1. 前回のおさらい

イノベーションを推進する上で大事なことは、「解決策」ではなく「課題」に注目することである。新しいプロダクトデザインなどの「解決策」作りにばかり気を取られると、本来の目的である「課題解決」を見失い、時間と労力を無駄して「顧客が必要としていないもの」を作り込むことになってしまう。重要なことは常に「解決すべき課題は何か」からスタートすることである。

「解決策」ではなく、「課題」からスタートしよう

2. 社内のイノベーションについて

前回の記事で大企業のイノベーションを「社外」と「社内」の2種類に分類した。一般的に「社外」向けのイノベーションには、比較的長期的な視野で取り組む必要がある。一方で、「社内のイノベーション」については、数か月の単位で簡単にできる。というより、半年間で成果が見えるイノベーションを目指すことが大事。世の中はそのようなスピード感で動いている。

「社内」のイノベーションは、半年間で成果を出す

社内でイノベーションを推進しようとする場合、まず考えるべきは、各部署の「課題は何か」考えてもらうこと。どうしたら解決できるかは二の次でよい。というより、どのようにしたらよいか分かっていないことが普通。まずは、各部署の人たちが普段の仕事のプロセスでどのような課題を抱えているのか、リストアップしてもらおう。さまざまな作業プロセスで面倒だと思っていることは何か、対応に時間が掛かることは何か、煩わしいことは何か、とにかく書き出すことからスタートしよう。

まずは「課題」を見つけるために、「面倒くさいこと」リストを作ろう

様々な「課題」をリストアップしたら、次に重要な課題を絞り込む作業にうつる。まずは、いろいろな人の課題リストを集め共通点を見出し、いくつかにグルーピングしてみよう。そうすると、その部署で皆が抱えている最も重要な課題、そこまで重要でない課題などが見えてくるだろう。その過程で、取り組むべき課題を絞り込んでいく。大企業でありがちなことは、全ての課題に何となく取り組もうとすること。そして、それぞれが進捗している風で、結果的に何もできない。これを回避する方法は、対応する課題をひとつに絞り込むこと。ふたつでもみっつでもなく、兎に角ひとつに絞り込もう。

「課題」をグルーピングして、最も重要な課題に絞り込もう

ここで難しいことは、「最も重要な課題」というのは、その課題を解決するために相応の時間やコストが掛かる可能性があることだ。しかし、そのために数年間を掛けてやることは、あまりお勧めしない。イノベーションの本来の目的は、世の中に無いもの、新しいもの、カッコいいものを作ることではない、「課題を解決すること」だ。社内の課題解決に数年間もかけている暇はない。社内のイノベーションは、長くても1年間、できれば半年間で達成できるものに集中すべきである。

イノベーションの目的は、「課題を解決すること」

次回に続く

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