Confidence is the most important thing! ②

前回の記事では、私が所属している英国の通信会社Mobellの創立者(Chairman)であるTony Smithのビジネスとチャリティについて、紹介をさせて頂きました。そして、それが日本にどのように関係しているのか、そして、NPO法人せいぼの誕生についても、ご紹介させて頂きました。

今回の記事は、私自身がなぜこのMobellに入ったのかを、Tonyとのエピソードなどを踏まえながらお話ができればと思います。既に一度、こちらからお話をさせて頂いているので、今回は他のエピソードを踏まえて、要約をしてお話し、現在実施しているチャリティ型ビジネスのご紹介ができればと思います。そして最後に、他の記事のような形で、一冊本を紹介して、皆さんがご自分に結び付けて考えて頂けるような内容できればと思います。

日本でチャリティを広めるには?

Tonyと私が初めて会ったのは、2016年10月で、彼は日本に長崎の巡礼と、日本支店(Mobellの日本支社)の訪問のために、日本に来ていました。私は同じ時期に、大学で彼の部下にあたる方で、Seibo Malawiを現地で立ち上げるためのメンバーだった方のチャリティの話を聞いて、面白そうだったので、その手伝いでMobellの日本支店に行こうとしていました。その時は、私はまさかそのチャリティ団体(現在のNPO法人せいぼ)が、英国の通信会社と繋がっているなんてことは、知りませんでした。私は何も知らず、Mobellの日本支店で、今考えればとても簡単な翻訳の仕事を与えられていました。(多分簡単にオンラインの代行サービスに頼めば、済ますことができたような仕事です。)

そして、私が日本支店に訪れた日、なんとそこには、Mobellの会社の重役(Director)が、全員いました。そして、若い私を見て、Tonyが私のところにきて、名刺を渡してきました。そして"Do you want to go to Malawi?"と尋ねてきました。私はあまりに突然だったので、何も明確な答えを出せませんでしたが、その後の名刺に書いてあった言葉が、頭から離れませんでした。
それが以下の言葉です。

“Doing Charity by Doing Business”

その後、彼は「日本でどうしたらチャリティが広められるか」という質問をしてきました。それが、私の中で、その後もずっと残り続けました。
そして、私はそれまで考えていた自分の計画は全て置いて、Mobellに入社することにしました。

2017年以降の日本市場

私が入社した2017年初頭は、日本がインバウンドビジネスと言って、多くの外国人が日本に訪れ、観光、ビジネス、留学など多くの目的がありました。そんな中で、Mobellもさらに日本市場を中心にビジネスの力を入れることになりました。私は一方で、大学は英文学科で、最初の会社がMobellであり、さらに通信事業などは全く分からない状態のスタートでした。そんな状態の中で、自分を支えたのが、"Doing Charity by Doing Business"というTonyのコンセプトです。

You don't just travel the world. You make it a better place!

私が主に関わっているのが、MobalというMobellのブランドで、日本の電話番号付きのシムカードの提供です。ターゲットが訪日外国人で、全国にSIMカードの受け渡し場所や、代理店の拡大など、2017年~2019年は特に、全国をオンライン、直接の訪問の双方で営業しました。そして、外国人のコミュニティや日本語学校の学生の中に入り、まだ商品が100%分からない状態でも説明をしながらメリットを理解しながら売り込んでいくのは、最初は本当に大変でした。そして、カスタマーサポートの電話も、英語で対応することが必要でした。そんな中で、やっと自分が本当の意味で英語が話せるようになってきたという実感がありました。

こうした困難の中でも、自分の売り込んでいる商品に自信を持ち続けられたのが、"You don't just travel the world. You make it a better place!"という言葉があったからです。SIMによって、世界を旅するだけではなく、世界を変えることできるということは、移動をする中で人とコミュニケーションを取り、出会いを通して人生が変わっていくという姿もイメージできます。そして、その移動中に使用しているSIMカードは、売り上げがチャリティのためにも使用されるということが背景にあることで、さらなる社会変革を意識することができます。

Tonyも会社を始めたばかりの頃、移動して人に出会うことが好きでした。そして、それを通して心が動き、人生が変わっていくこと、そしてその体験を充実化させれば、世界はより良い方向に進んで行くことを意識していたはずです。私はそのスピリッツと一緒になることを目指して、仕事をつづけました。

NPO法人せいぼの運営

私はビジネスを実施しながら、同時に日本でチャリティをするというTonyの思いもあり、マラウイから始まった学校給食支援事業であるSeiboを、日本で広げていくことを担当することになりました。その中で法人登記したのが、NPO法人せいぼです。この団体は、私のようにMobellで雇用されている人間が実施しているため、人件費、活動費は全て、Mobellが負担しています。私はMobellの営業として仕事をしながら、NPO法人せいぼの運営を実施することになりました。そうは言っても、日本で寄付を募り、マラウイに送ることは、0からはとても難しいことです。イベントなどで呼びかけをしたりなど、できることは実施できましたが、あまり根付きませんでした。

Warm Hearts Coffee Club

そんな中、一つの方法が可能になります。それが、マラウイのコーヒーを輸入している業者の方との出会いです。その通商会社様の生豆の提供によって始まったのが、Warm Hearts Coffee ClubというAAランクのマラウイ産コーヒーの提供です。

インターンとのコーヒーイベントの様子

先ほどご説明させて頂いたように、Mobellによって営業費用、人件費などが賄われていることにより、売り上げの100%を現地に送ることができます。私はこのユニークな商品を売り込むため、イベントや上記のようなウェブサイトを始めました。そして、こちらでまとめさせて頂いているように、現地の農園にも訪れることにしました。

静岡の高校のマラウイの調べ学習と販売の様子

こうした、徐々にですが、自分のビジネスの中心が、コーヒーの販売と通信事業の営業の二つとなっていきました。そして、学校の皆様には、このマラウイのフェアトレードのコーヒーを使用して、学習の機会や実際の販売と寄付を実施頂くなど、多くの繋がりを頂いています。

マラウイでSeiboが支援している保育園の子供たちとの写真(手にしているのはSIMカードのプレート)

2020年以降:コロナウイルス後のチャレンジ

以前、こちらの記事でもご紹介させて頂いたのですが、コロナウイルス後、日本に入ってくる外国人も少なくなり、私たちもWiFiの提供で海外の人が自宅で使用できる商品の開発と営業、既存ユーザーへのケア、さらに労働者、ビジネスマンなどで新たに入ってくるお客さんの獲得程度しか、通信事業は回っていませんでした。

そんな中で、Tonyが作り上げてきた国際的なチャリティとビジネスのネットワークを使って、それをオンラインでの体験として若い皆さんにご提供する、オンライン留学コースを実施してみることにしました。
2020年8月から実施し、多くの参加者の方にご利用いただきました。その中の多くの方が、その後もMobellのことに関心を持って下さり、自分で創作した社会的事業のアイデアを、Mobellスタッフと一緒に作り上げ、実際に行動に移している例もあります。以下にImpact Reportを載せさせて頂きますので、是非見てみてください。

マラウイのIT&Leadership学校の先生による授業:文化としてのBody Languageを扱いました!

Tony Smithへのインタビュー:日本の学生と日本のチャリティ

ここまで、私、山田真人を例に、Tonyの影響でMobellに就職し、仕事をしてきた流れ、そしてビジネスの変化をまとめてきました。しかし、私だけでなく、Tonyの言葉によって、力をもらった学生たちがいます。彼らはMobell Courseに参加して下さった方で、二人ともとても高いモチベーションで社会のことも、自分の将来のことも考えています。そんな二人も、Tonyの言葉、そしてMobellのビジネスモデルによって勇気を得て頂き、一緒に社会を変えていく一部になっていってもらえたらと考えています。

Tonyは彼らに、"Confidence is the most important thing"と述べていました。この記事のまとめとして、最後に前回に引き続き、もう一度この言葉に触れておこうと思います。Tonyのように色々なビジネスを"Doing Chairty by Doing Business"というコンセプトのもと、一つにしていくことが、自分の関わったことが自分の信念のもと具体化され、自信に繋がっているのかもしれません。私たちが自分に自信が持てている状態はどんな時でしょうか。それが揺らぎそうなとき、どのように自信を保つ工夫をしてきたでしょうか。それを考えることが、柔軟にビジネスの方向性を変え、それぞれの「点と点をつなぐ」ことができ、新しいステップに進んで行けることに繋がると思います。

最後に、一冊この「点と点をつなぐ」ということを考えるのにお勧めの本も紹介しておきます。『Serendipity-点をつなぐ力』という本で、人間が生きる中で、常に不測の事態に対して開かれた姿勢を持ち、その事態を積極的に捉えることができれば、新しい可能性に繋げることができることを語っています。

次回は、こちらで紹介させて頂いた学生たちがどのような質問をインタビューでして、Tonyがどんな回答をしたのかをご紹介しながら、私も含めて自信を持ってビジネスを進めていくことの意味についても、考えていければと思います。

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