オタクは歌う

■ オタク人生第2章

 1月31日木曜午前1時”Wake Up, Girls!”(以下WUGと略す)のファンになり、さいたまスーパーアリーナで、人生第2章の幕を上げられたオタクの1人である。詳細は記事「Wake Up, Girls!」にて。

 結論、WUGの記事では無い。ステージの解説考察も有識者に任せよう。


■ オタクは歌う

 「オー・シャンゼリゼ」を意訳カバーした。意訳カバーとは。外語の楽曲を、自分なりの邦詞を付けカバーする行為である。さいたまスーパーアリーナを経て聖地仙台の巡礼、ワグナーの方々との交流、推しに連れられ全国各地に足を運んだ。
 心が身体が揺さぶられた”感動”を形にして残したかった。記録媒体がある現代に、詩や小説が生まれ続ける意味を理解した。感動を忘れない、でも記憶になるのは忘れ行く事でもあって。


■ 推しが残したもの


ひとりで街をブラブラしながら鼻唄まじりの散歩道
ひとりで街をブラブラしながら
話しかけたいなこんにちは
きみは無くとも昼も夜中も
ここにはあるよ オーシャンゼリゼ


 聖地である仙台を訪ねた。1日中WUGを聴きながら仙台を歩いた。解散から4か月後のHOME、此処にもWUGが息づいていた。木町通りの学習塾跡を基点とし、熊谷屋さん喫茶ビジュウさん餃子の天ぱりさん。距離感に島田真夢たちの生活が見えた。本当に居るんじゃねえのかな?
 道中でワグナーらしい方々も見かけた。声は掛けられなかったが、SNSを通じてWUGスポットの情報交換等を行なった。

瞳閉じて木々を撫でれば
みずいろの風と青葉の海


 夏の定禅寺通りに、爽やかで心地良い風が吹き抜けた。それが木々を撫でると、隙間なく青葉が色めき「言の葉 青葉」そのものであり、瞳を閉じれば、一面が青葉の海となった解散公演が思い起こされた。水色と言えば、リーダーである青山吉能さんのイメージ色だ。風は始まりで、彼女が彼女らしく在る事でメンバーたちも輝きを放ち、WUGとワグナーという大きな青葉の海が色めいた。

風に吹かれてうたを唄えば
トラもライオンも踊り出す
夢の中ならまた
きみにあえる きみを呼ぶ声が鳴り響く


 ワグナーの方々によるオフ会に参加した。ワグナーなら誰もが知る”名前”の下に、ライブ”PART III KADODE”と”想い出のパレード”を鑑賞すべくオタクたちが集結した。世間話を、同じく山下七海さんを推している方と交わしたりしたけれど、気心の知れない中で他人行儀を拭えないまま過ごしていた。
 ゆっくり思い出す様にコールの熱を高めるオタクたち、筆者も例外ではなかった。誰を推しているか、どんな趣味か関係なく空間が1つになった。肩を組みながら「Polaris」を歌って(再び出来る日が来ようとは!)、何度も何度も彼女たちの名前を呼んだ。泣いて笑って寂しいけれどそれ以上に楽しくて、あの時間が戻って来た様だった。夜通しWUGに向き合って。夢の中で紛れも無く”あの日”に居たのだ。

忘れたいけれど忘れたくなくて
見上げた空に虹が架かる
架け橋が伸びて足取りは軽い
夜空の星は オーシャンゼリゼ


 「オー・シャンゼリゼ」のメロディに乗ってこの言葉がやって来た事が、”推しが残したもの”を歌う切っ掛けであった。彼女たちから”忘れないで でも上手に忘れて”と言葉を貰ってからどれぐらい時間が経っただろう。忘れたい訳がないのだが。人間から街から、時間は雨風の様に足跡をさらい拭い去る。WUGと縁のある聖地が、残念な事に無くなってしまうニュースを目にした。忘れなければ失い続けるんだよなあ、と頭を抱えていた。これ程まで強い衝撃を、救いを忘れられるのだろうか。
 吉岡茉祐さんのステージを目にした。田中美海さん山下七海さん高木美佑さんのトークショーに足を運んで。山下七海さん高木美佑さんとはお渡し会でお話出来た。解散したグループそこに所属した人々は、多くの場合そこから距離を置く印象があった。解散以後も彼女たちは共演しては、WUGであった延長線上を歩いている。そういう見せ方をしてくれている。
 先日友人の結婚式に参列した。私事で恐縮だが、少し話をさせて欲しい。WUGの楽曲が起用される逆サプライズがあった。式でかなり重要なフィナーレの場面である。新郎新婦共に、WUGを”軽率に布教する計画”の餌食となり、まんまとハマってくれた。WUGが素敵だった、と言い続けた事が報われたというか。新たにファンになる方々の存在を観測する度に、雨上がりの空に虹が架かった様な感覚になるのだ。仙台旅行も初日は大雨で、雨上がりには虹が架かった。
 WUGであった彼女たちは「SHIFT」で歌われた”ネックレスが切れて踊る真珠色のスターライト”の様に、輝きを放ち世界から見つけられている。新たに人々を魅了し続けている。正直な話、WUGにおける山下七海さんの延長として、依存みたいに追い掛けた数か月があるけれど、”今の”山下七海さんを推したいと思える出来事があった。
 推しが、WUGでなくなっても推し続ける山下七海さんが、前に進む姿を見届ける。でも時々で良いから。夢の中でまた、きみに会って、きみの名前を呼びたい。
 最後までご覧いただいた物好きな方々には、何とお礼を言って良いか分からないが。夢の中でまた会おう。肩を組んで歌って踊ろう。それではまた会う日まで。

(アメーバブログ:2019-12-06より転載)

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