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これは、市民オンブズマン運動の転落の始まりとなるのか。

約4ヶ月ほど前に、『やる気のない市民オンブズマンなんて、さっさとやめちまえ』という記事を書いていて、大阪の市民オンブズマン団体である『市民グループ見張り番』(以下、『見張り番』)をディスる恰好となったが、つい先日、ブログが更新されている事に気が付いた。前回の更新から、実に1年近く経っての更新である。

タイトル見て、大した記事どうせ書いてないんだろう、と思っていたら、衝撃的とも言える書き出しで始まった。

コロナに関係なく、見張り番はここ数年の間に方向を見失ったようです。

ほんの10年ほど前は、あれほどイケイケで、市民オンブズマン活動をしていた団体が、これである。「見張り番はここ数年の間に方向を見失った」と。

実際に、税金の使途に対する不満や疑問を解決せんとする彼等の活動を好意的に捉えたマスメディアも多かったのは事実である。『大阪維新の会』(以下、『大阪維新』)の候補者が2011年末に大阪府知事・大阪市長W選挙に当選し、都市行政のヘゲモニーを掌握した2012年以降は、その活動がおとなしいと見られていたとはいえ、それまでの活動実績に対しては、高評価を与えている人も決して少なくない。

それが、「ここ数年の間に方向を見失った」と来たのだから、これは只事ではない、尋常ではない事態に陥っているのでは、という懸念。

『見張り番』のブログ担当者は続ける。

原因は複雑ですが、世の中の動きとも無関係ではありません。本ブログは、会の活動状況など会として合意決定したことに限定して、記事を掲載することを守ってきました。従って、記事が載らないということは、会の意思になっていないからです。

団体運営にも関わっているブログ担当者が、団体の内部での異常事態を吐露しているのである。意見の調和が取れていない、ややもすれば内部で意見対立が激化しているのでないのか、というのが、この文章からも見て取れる。そして、会員でもあるブログ担当者が所属団体を強烈に批判しているという事実が此処に在る。

記事は、更に先へと続く。

この間、会報161号~164号が発行されましたので、この情報は外部に出ています。しかし、中身については単純ミスや文章上の不備などが少なくないために、このまま公開するのに気がすすみません。言い訳がましいのですが、ブログ担当者が気づいたことなど代表に知らせていますが、なしのつぶてです。もちろん、ブログ担当者も運営の一人として責任を感じています。基本的なことやルールを無視しては、まともなことは通りません。いまの世相にぴったりと寄り添っているようです。

自己の団体を此処まで痛烈に批判しているというのは、これまで『見張り番』のブログでは見受けられなかったことである。それがこの有様である。それも冒頭から、何やら意味深な内容を仄めかしている様に映るのだが、一体何を指しているのか。

最初の書き出しに戻ろう。表現はぼかしているが、「原因は複雑ですが、世の中の動きとも無関係ではありません」。この世の中の動き、というのは、具体的にどんな内容を指しているのかは、様々な臆測もあろうが、筆者が思うに、この内容は、〈今、まさに地元大阪で起きている政治的出来事〉なのではないかと考える。

実際、SNSなどでは、大阪府と大阪市で、『大阪維新』に帰属する人物が首長に収まって以降、『見張り番』の行政問題への追及が緩くなっている事に疑念を持っている意見が少なくなく、一部会員からもその話があると聞く。

まさかとは思うが、仮にこの書き出しがそれを示唆しているとしたら、それこそこの市民オンブズマン団体の存続そのものが、悉皆危機的状況に陥るのは容易に想像できよう。

その後の、「ブログ担当者が代表に知らせても梨の礫」「基本的なことやルールを無視」「今の世相にぴったり寄り添っている」というくだりには、執筆したブログ担当者の強烈な怒りの感情がうかがえる。本当に、「どうしてこうなった」という。

現在、「見張り番」の訴訟はゼロです。これは、いまの会の姿を象徴しています。住民監査請求も激減し、情報公開については、「情報提供」という方法で満足し、市民側は行政のいうがままになってしまいます。従って、これまで市民・国民が発展させてきた公正・透明な情報のあり方を大きく後退させることになっています。

この部分にも、ブログ担当者の苛立ちが見受けられる。結局、真剣に現在の行政問題に向き合う事なく、なあなあで市民オンブズマン活動をやってきた "ふり" をしたツケが、まさにこの今、団体批判という形で、鋭利な牙で強烈に襲いかかってきているのである。

その後も2回、ブログは更新されているが、ブログ担当者の『見張り番』批判は収まる気配を見せない。特に『見張り番』の法人化を目指すこれからの活動、というくだりには、最早団体の意見集約も碌に出来ない、惨めな姿を曝け出している様にも映る。

先に、〈今、まさに地元大阪で起きている政治的出来事〉という表現を持ち出したが、この度2020年11月1日に、『大阪市を廃止し特別区を設置することについての住民投票』が実施される予定である(不在者投票は10月13日から)。

5年前にも同じ内容の住民投票が実施された時には、反対票多数で否決されたが、今回は投票結果に法的拘束力を持つという事もあり、かなり都構想反対の立場を取っている有権者からの悲壮感が強く漂っている。その凡そ1週間前の10月24日に、『見張り番』の総会が開かれる運びとなっている。

果たして、10月24日の『見張り番』の総会は、平穏に執り行われるのであろうか。正直筆者は、大いに疑問であるどころか、相当に荒れる予感しかしない。

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