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ライブエクスポート

少し前になりますが、驚くニュースを見ました。


ニュージーランドから中国に向けて出港していた、40数人の乗組員の方々と5,867 頭もの生きている牛を乗せた船が、台風の影響で海が荒れ波に打たれ、沖縄の奄美近辺で転覆し沈没しました。乗組員の方々はほぼ見つかっておらず、1人だけ無事に救助され生存確認されています。


助けられた乗組員の方が、『積み荷の牛につかまった』とコメントしていました。これは通訳の方の訳し方によるので、本当にこの方がそう言ったかはわかりません。でも私は『牛は積み荷なのか?牛は生き物じゃないのだろうか』と疑問に思いました。


ライブエクスポートの現実                                   

動物と言っても一括りではなく、ペット、食用、観賞用、働く用と用途によっていろいろなカテゴリーに分かれます。


ライブエクスポートでは生きたままの牛、羊、馬などが船に乗せられ生産国から輸出されます。ライブエクスポートは様々な国で行われています。率直に言って、私はライブエクスポートは動物にとって、とても残酷なことだと考えています。


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実際にどれくらいの生体が日本に輸入されているのかはっきりとわかりませんでしたが、日本に入ってくる食肉用の動物もライブエクスポートのものがあります。


私がライブエクスポートのことを知ったのは、動物愛護について調べるようになってからです。いろいろな写真を見るにつれて、とてもショックを受けました。


尋常ではないほど暑い中、何千頭もの牛や羊がエアコンもなく水もなく、休むスペースもないほどの狭い所に押し込められて立ったまま海を渡り、目的地に送られます。


途中、死んでしまうこともあり、船から海に死んでしまった動物を捨てたり、またはそのままにして目的地まで運ばれます。


全ての船がそのようなオペレーションをしているわけではないと思いますが、以前、私が見た画像と映像は非常に劣悪な動物にとって過酷な状況で運ばれていました。その中には死んでいる動物もいました。


このような食用動物の輸出、輸入は国の経済の発展のため、国民の食をまかなうために必要なのかもしれません。でもこの記事が、人間のお腹を満たすために食用動物として、生きたまま海を渡ってきているという現実もあるということを知ってもらえる機会になればと考えています。


『そんなこといったら何も食べれなくなる。ベジタリアンになれっていうこと?』『焼肉とかおいしいし』

葛藤                                                                             


矛盾してると言われても仕方ありませんが、私はベジタリアンではないし、なるつもりもありません。そんな私が言っていることは矛盾しているんです。本当に。知り合いの動物活動家の人たちは、私にベジタリアン、またはビーガンになることを勧めますが、完全ベジタリアンは私はなれないと思います。


しかしその反面、食用として育てられた牛や羊たちは『人間の物』として乱雑に命を扱われることに、私は悲しい気持ちになります。


『そんなこと言ったら、肉が食べられなくなる』『スーパーに行けば売ってるし』


そうなんです。そこなんです。それが私の中のジレンマなんです。また、私たち、人間の理解や動物に対する価値観も異なります。それぞれの立場によって、思うことは異なり、正しい答えなんてないし、わかりません。


私は動物調査にあたり、大学の時に先生に言われたことを今でも覚えています。動物についていろいろと調べていく中でいろんな葛藤が生じ、その時、盲導犬ですら私は人間のエゴだと思っていました。そこに私の教授が言ったのは、


『大事なのは人間がどのように動物を扱うか。盲導犬でも警察犬でも何にしても、動物の尊厳と福祉を大切に適切な環境で扱われているかがもっと重要だ』

これをベースに考えると、動物福祉の観点から、ライブエクスポートされる動物たちは、生きたまま船で過酷な状況で運搬されることが本当に必要で、このような運搬方法は適切なのか、疑問に思います。人によって大きく見解が分かれるでしょうが、考えるべきはライブエクスポートのあり方そのものなのではないでしょうか。 


今回の記事では今までとは少し違って、あまりみなさんが知る機会のないことについて書いてみました。


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