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驚異の音響、エピダウロス劇場

大学時代、西洋古典専門の先生が率いるツアーに参加し、ギリシアの地を訪れました。
その中で最も印象に残っているのが、エピダウロスの劇場です。

エピダウロス。北緯37度38分 東経23度8分

医療の聖地

エピダウロスは、ペロポネソス半島東部にある遺跡で、世界遺産にも登録されています。医神アスクレピオス誕生の聖地として栄え、療養施設、浴場、競技場、劇場などを備えていました。

エピダウロス劇場

遺跡の一角にある屋外劇場は、収容人数14,000人、凹面の最高距離58メートル、ステージ直径20メートル、階段状に55段の座席をもち、ほぼ完全な形で往時の姿をとどめています。

エピダウロス劇場

音響効果

この劇場は、優れた音響効果で有名です。
今回ご紹介したいのは、この音響効果についてのエピソードです。

エピダウロス劇場に到着し、ツアーの参加者が思い思いの座席にすわると、引率の先生が舞台の中央でコインを落としました。
私たちは座席のかなり後ろの方に座っていたのですが、コインが落ちる音がはっきり聞こえました。

おー!」
「すごい、本当に聞こえたよ!」


興奮して喋っていると、最前列に近いところに座っていた人が振り返りました。

「話している内容、聞こえるよ。」
「うそでしょ?
そんなに大きな声出していないし、こんなに離れているのに。」

試しに、最前列で小さな声で会話してもらいましたが、私たちにも彼らの話し声が内容まではっきり聞こえました。

ここで実際に演劇をやったら、音響が良すぎてうるさすぎるくらいだと思いますが、観客がたくさん入ればちょうどいい位になるのでしょう。

ツアーを引率して下さった先生は、そんな説明をされていたように記憶しています。この抜群の音響効果の秘密は、まだ解き明かされていない、という説明もされていました。


もしかしたら、今はもう、秘密の一部は解明されているのかもしれませんが、それにしても、古代ギリシア人は本当にすごい!

西洋文明の源流であるギリシア。
今はヨーロッパの小国にすぎませんが、当時、どんな人が住み、どのような生活を送っていたのでしょうか。

おまけ。医神アスクレピオスと蛇

エピダウロスで生まれたアスクレピオスはオリュンポス十二神アポローンの息子で、その卓越した医術で死者を蘇らせることもできたそうです。その姿はへびつかい座に見ることができます。

へびつかい座

そしてWHO (世界保健機関)のシンボルマークにも用いられています。





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