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プラタナスの話

ユダの木の記事に続き、大学恩師のオンライン講義で、ほう!と思った話。ギリシアのクレタ島に生えている一本のプラタナス。そこがヨーロッパ発祥の地だというのです。

ヨーロッパ発祥の地

クレタ島には、フェニキアの王女エウロペがゼウスと結ばれた場所に生えていたプラタナスがあります。人目から2人を隠して見守ったこのプラタナスは常緑なのだそうです。

フェニキアの王女エウロペが、海辺の牧場で遊んでいると、真っ白な牡牛が近づいてきました。美しいエウロペに目をつけた大神ゼウスが化けた牛です。エウロペは美しい牛に魅了され、とうとう背中に乗ってしまいます。
そのとたん、それまでおとなしかった牛はエウロペを乗せたまま、はるかクレタ島まで海をわたります。そしてそこでゼウスはエウロペと結ばれます。

ゼウスとエウロペの間に生まれた子が、後にクレタの王となるミノスです。
そして、エウロペがゼウスに連れられてやってきた地域は、王女の名にちなんでヨーロッパと呼ばれるようになりました。

つまりこのプラタナスが立ち、ゼウスが想いを遂げた場所が、ヨーロッパ発祥の地という訳です。

ギリシア語のplatys(英語のbroad)を語源とし、大きな葉を意味するプラタナス。ギリシアにまつわる逸話がいくつも残っています。

哲学者たちの教えの場

プラトンが哲学を説いたアカデメイアの森にはプラタナスが植えられていたことから、この植物の花言葉は「天才」「好奇心」。
ソクラテスもこの木の下で弟子たちに教えを説いたそうです。

医学のシンボル

エーゲ海に浮かぶコス島は、古代ギリシアの医師ヒポクラテスが生まれ育った島です。
島の中心地、コスタウンにあるプラタナスの巨木は、この木の下でヒポクラテスが弟子たちに医学を教えたとされ、島のシンボルになっています。
ヒポクラテスの木と呼ばれるこの木から、株分けや種子で増えたプラタナスが日本国内の医療施設や医大にも植えられています。

(プラトンの木、ソクラテスの木もどこかにあるのでしょうか。)


和名の由来

和名のスズカケノキは、その実が山伏が首からかける篠懸(すずかけ)の梵天(球状の飾り)に似ていることからつけられた名前です。

※正しくは、梵天がついた袈裟は結袈裟(ゆいげさ)、篠懸はその下に着る法衣のことだそうです。

またこの実が鈴のようになっているため、という説もあります。


日本では、スズカケノキ、アメリカスズカケノキ、そして両者を交配したモミジバスズカケノキが見られ、見分けはかなり困難だそうです。
英語では、どれもプラタナスと呼ばれるそうです。プラタナスと呼べば間違いはなさそうですが、優雅な和名も捨てがたいですね。

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