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旧暦晩春の出来事 2 春の雪

前回の記事の続きです。

しばらく花が降らせる雨の音を聞いていると、時折白い毛の塊のようなものが視界を横切って行くのに気づきました。植物の綿毛かなと、最初は気に留めませんでしたが、もと来た道を帰ろうとすると、白いふわふわの飛ぶ量がさらに増えていきます。

綿毛にしては繊細で、大きさは1、2ミリくらいのものが多いですが、時々1センチを超えていそうな大物も漂っていきます。タンポポの綿毛より随分と軽いようにみえ、つかまえようとしても、ふわりと指の間をすりぬけていきます。

ようやく1つつかまえて、そうっと手を開いてみたら、細い白い毛がふわふわとかろうじて形をたもっていました。持参したiPadで写真を撮ろうとしましたが、繊細すぎて姿をとらえることができません。うーん、残念。植物には見えないし。散歩中の犬の毛かな。

そんなことを考えながら歩いていたら、広場の方で声が聞こえてきました。
「白いの、こっちの方には飛んでいないんだね」
どうやら同じものに気づいた人がいるようです。
声のする方を見て、驚きました。

風に乗って無数の白いふわふわが飛んでいきます。粉雪が舞っているようですが、それより繊細です。一度だけ見たことがある、雪虫が飛ぶ様子にも似ていました。

小さな白い点々が写真にわずかに写っているのですが、見えないですよね…。

日の光を反射しながら、横に流れるように飛んでいく無数のふわふわ。
しばらく眺めていましたが、結局正体はわからず、広場を後にしました。

さらに少し歩いていくと、巣作りにいそしむ蟻たちに出会いました。

おお、頑張っているね、とそカメラにおさめ、何気なく視線をずらすと、あのふわふわが地面に。落ちている、という感じではなく、たまたまそこに留まっている、という雰囲気でした。

わずかな空気の動きで飛んでいってしまわないよう、そうっと近づいて写真を撮りました。

続きます。

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